幼児期を逃すな!
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2024.1.25


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先般(1/22〜23)
沖縄のK幼稚園に招かれて出かけてきました。
このK幼稚園は
ヨコミネ式幼児教育
石井式漢字教育をベースに
幼児教育に果敢に取り組んできておられます。




ヨコミネ式幼児教育



石井式漢字教育







ヨコミネ式幼児教育
概要


 「ヨコミネ式」とは、横峯吉文氏が鹿児島県で保育園を運営していく中で、30年にわたり、子供と向き合い観察した結果生み出された「自ら学ぼうとする力」に注力した教育法です。

 「ヨコミネ式」は、「全ての子どもが天命をうけてこの世に生まれて来た。その天命を最大限に発揮させたい。」という理念のもと、自ら考え、自ら判断し、自ら行動・実践することを目的とした教育を行っています。

 ヨコミネ式教育法では、子どもたちの自立を促すために「学ぶ力」「体の力」「心の力」を大切にしています。幼いうちにあらゆることを経験する機会をつくり、子どもの健やかな成長や自立心を育むことを重視しています。

 学ぶ力=読み・書き・計算などで生きるために必要な問題解決力を身につける

 体の力=走力・体操・泳力などでバランスよく身体を動かし、運動神経を伸ばす

 心の力=遊び・音楽・図工などで豊かな感性を育て、正義感や道徳観を身につける


 自学自習の力を身につけるヨコミネ式の教育方針。子どもの夢を叶えるため、基礎をつけて選択肢を広げることはとても大切です。自学自習できる能力さえあれば、何事も自分でチャレンジして向上していくことができます。

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石井式漢字教育
概要


 50年にわたる教育実践から生まれた幼児期の言葉の学習法で、オリジナルのカリキュラム・教材(漢字かな交じり文の絵本等)で学習します。

 脳の体幹 「脳幹」 = 思考力・読解力・表現力を身につけ、未来の社会で活躍できる子ども達を育てます。 好奇心旺盛な幼児期に“学ぶことの楽しさ”を教え、全ての子ども達が本来持っている、天才的潜在能力を100パーセント引き出します。

 石井勲先生は幼児期の子供の素晴らしい能力を発見し、「幼児教育の重要性」、とりわけ「この時期における言葉の教育の重要性」に着目されました。

 そして、「幼児期の言語教育こそが人間の知能を決定する働きをし、能力を大きく飛躍させる鍵となる」という信念に基づき、石井式漢字教育法の普及と、幼児教育の現場での実践に生涯をかけて来られました。

 石井式漢字教育の教室からは、言葉の豊かな、素直で品格のある性格の、礼儀正しい子供たちが育っています。

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公開授業の様子
5歳児






1)1枚目の写真=教師が、昔話「天福地福」の読み聞かせ(暗誦しておられる)をしながら、次々とお話に出てくる「漢字(カード)」をホワイトボードに貼り付けていきます。

2)お話が終わると、先ほどの漢字の読みをフラッシュカード方式で素早くテンポよく提示し、幼児は一斉に「読み」を答えます。このテンポ(スピード感)によって、左脳右脳両方(特に右脳)に刺激を与えることが出来ます。

3)2枚目の写真=全員が昔話「天福地福(漢字仮名交じり)」の文章を音読します。子ども達は文字を指で辿りながら、朗々と大きな声で音読していました。

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何と言っても驚きは
子ども達の姿勢の良さ
規律正しさ
集中力です。
こういう規律正しい子ども達が
小学校に入ってくると
生徒指導、授業など本当に助かります。



幼児教育の歴史を振り返ると
「児童中心主義」の考えのもと
平成元年(1989 年)
「幼稚園教育要領」が改訂されました。
「設定保育」から「自由保育」中心に移行しました。

この頃からです。
小学校の新入生に落ち着きが無くなったのは!
じっとイスに座れない。
姿勢が悪い。
勝手におしゃべりをする。
立ち歩く。
………………
ついには学級崩壊(=学級がうまく機能しない状況)も出始めました。
マスメディアでは「小1プロブレム」と称して
社会的な現象として
度々取り上げられるようになりました。






K幼稚園
一日の日課表






 上の写真のように、多岐にわたってプログラムが組んであります。まさに「知育・徳育・体育」バランスの取れた、理想的なカリキュラムです。

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園長先生の理念(ビジョン)


 きっと「早期教育」だと批判されると思います。しかし、入学前の子ども達が姿勢を正して座り、嬉々として学んでいる姿は、感動的でした。でれでれしたり、そわそわしたり、歩き回って落ち着きがなかったり、……。そんな子どもはいなくて、集中する姿には頭が下がりました。

 江戸時代の寺子屋、藩校は、4歳半からでした。幼児の器、吸収力は凄まじいものがあります。

 園長先生の考え方の根底には、沖縄の歩んできた不幸な歴史と現実打破! があります。沖縄をリードする人材を育てて、沖縄の未来を切り拓くんだ! という気概があります。おん年83歳の女性、すこぶる元気です。

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私の立ち位置


 K幼稚園に私が招かれたのは、T出版社の仲介によります。T出版社ではK幼稚園で使用しておられる教材を製作・出版しておられます。その関係で、指導方針・指導方法など、K幼稚園からアドバイスを求められているとのこと。

 しかし、社員に学校現場経験者がおらず、そういう立場・視点からの指導・助言が出来かねるとのこと。そういう現状にあって、こともあろうに私(烏田)に視点が当たったとのことです。むろん私に、そのような大所高所に立ったアドバイスが出来るほどの力量があるとは思えません。

 ただ、保育所(退職後4年間)、小学校・中学校の勤務(指導)経験があること、要約学習で小1〜高3の授業に出かけていること。石井勲先生の漢字教育に関心が深く、実際に授業などで試みてきていること。 ……こういう立ち位置からであれば、なにがしかの助言が出来るかも知れない。ということです。

 そのあたりは、十分に汲んで頂き、それではということで出かけてきました。K幼稚園では授業参観の他に、学童の子ども達及び5歳児に対して「要約学習(音声言語)」の授業も行いました。

 事後、園長先生や5歳児担任の先生との懇談もありました。(私の立ち位置をお話した上で)率直に私の感想や意見も述べさせて頂きました。

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基盤となった考え方


 2020.01.19 幼児期に学力の土台を!

 2019.07.07 なぜ勉強をするのか?

 2023.04.22 考える読書

 2022.12.11 難語句を突破する

 2022.10.08 漢字 この豊かで奥深い世界

 2022.04.30 「湖沼」が読めますか?

 2020.03.15 読む力が未来を開く

 2020.03.08 音読・暗誦の底力

 2019.11.24 日本語の特色(bS)








蛇足


 学力テスト(入学試験)で高得点を目指して頑張る意味は何か、……? さまざまな考え方があると思います。しかし古今東西、私は不易の部分があると考えています。それは自己実現、ゆめの実現です。

 私自身の進路選択の道のりを振り返っても、高校へ送り出した教え子の実情を観ても、行き着く答えは同じです。これに関しては、以前「勉強合宿」に参加した生徒に話しました。それを「コメントの部屋」に書き残してもいます。

〜 話した内容から一部抜粋 〜

2.勉強が得意だとなぜいいのか?

 なぜ、そんなに苦しい思いをしてまで勉強をしないといけないのか? テストの成績がいいと、なぜいいのか?

 率直に言います。「将来の選択肢が広がる」からです。「自分の将来のすそ野が広がる」からです。

 つまり、成績がよければよいほど、選べる高校が増えます。成績がよければよいほど、選べる職業選択の幅が広がります。

 どんなきれい事を言っても、これが今の社会の現実です。性格がどんなによくても、足がいくら速くても、足がいくら長くても、とりあえずはペーパーテストの成績が第一関門としてそびえています。

 ただし、近年、入試や就職試験において、テストの成績や出身校によって選ぶ傾向が少しずつ弱まってきてはいるようです。

 その人のやる気、思考力、創造力、実践力、誠実さなどを重視して選ぼうという動きがあります。

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【蛇足】
文部科学省が
「新しい学力観」の考えを打ち出したり
「ピサ型学力」が
取り上げられるようになったりしてから
「学力」の見方・考え方が
違った視点から論じられるようになりました。
「学力観」が広がったとも言えます。
しかし
ここで言う「学力」は
ペーパー試験で計ることができる
従来型の「学力」を念頭に置いています。

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