松江市立第四中学校「山本博行くん」の話が、『君たちはどう読んでいるか』(松尾弥太郎)で紹介されています。山本君は「考える読書」を重ねることによって、ぐんぐん成績が向上しました。
山本君が実践した「考える読書」とは、いったいどんな読書の方法なのでしょうか?
文章に書かれている内容に沿って、あれやこれや「独り言」をつぶやきながら読み進めるという読書です。もう一人の自分とおしゃべり(対話)する読書です。筆者と対話する読書でもあります。
このように、独り言をつぶやくことを専門用語で「内言」と言います。授業では「広げ読み」「生活読み」と、生徒には説明してきています。
本をたくさん読むことも大事です。どんどん本を読んで、知識を蓄える(教養を高める)ことも大事です。しかし、読書の心得として「考える読書」こそ、将来に生きてはたらく読書の方法です。
以下に内言の例を示します。
移ろい変わることのない「永遠の幸福」というものがあるであろうか。神を信じる人たちは、神によって、神の中に生きることによって、それを得ようと願った。遠い聖者たちの伝記を読むと、そういう幸福があったように見える。それを世の常の「幸福」と区別して「浄福」と言う場合がある。
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【内言の例】
◎ なるほど、幸福には「一時的な幸福」と「永遠に続く幸福」とがあるのかぁ〜。そういえば「入試で合格したとき」とか「試合で勝ったとき」とか、長続きしない幸福は確かにあるなぁ〜。
◎ 「永遠の幸福」とは、いったいどういう幸福なんだろうか? この本を読んでヒントを得たいものだ。先を読むのが楽しみだ。
◎ 神を信じることによって「永遠の幸福」を得るとは、いったいどういうことなんだろうか? そういえば、宗教団体に所属している教え子が「この宗教と出会えて、私はとても幸せです。」と、生き生きとした表情で話していたなぁ〜。あれはいったいなんだろう? でも、筆者は「あれは幻だ。」と言っている。それはどうしてだろうか、……?