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2025.4.16


小学校高学年教材の部屋


新しいがん治療


@ 京都大学研究チームは、iPS細胞から作り出した「免疫細胞」(有害物質やウイルスなどを攻撃する細胞)でがんを攻撃する治療法について、患者での治験を始めたと発表しました。治験とは、「病気に効果があり、人に使用しても安全と予測されるかを人で効果を試す」ことです。研究チームはiPS細胞から、がんを発見して攻撃する「NK(ナチュラルキラー)細胞」という免疫細胞を作り出しました。これを「卵巣がん患者」の患部に移植する手術を実施したとのことです。

A 人の体内では、一日7千個以上のがん細胞が生じています。これらはすべて、NK細胞などの免疫細胞の攻撃で殺しています。が、免疫機能が弱まるとがんが発生します。特に、卵巣がんのうち約20%の患者は、抗がん剤が効きにくいとされています。今回の治験は、こういう重症患者を救う目的で始められました。計画では健常者(健康な人)の血液から作ったiPS細胞を使ってNK細胞に変化させ、大量に増やします。

B 患者の血液だけでは、十分な量を得るには時間も手間もかかります。この点、健常者の血液から作ったiPS細胞を使えば短期間に大量に増殖させることが可能で、多くの患者を早めに治療できるというよさがあります。

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新しいがん治療
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過疎地でロボットが活躍


@ 過疎地は、働き手不足や地域内の移動など多くの課題を抱えています。そこで、ロボットや新しい乗り物といった最新技術で課題を解決しようとする動きが出てきています。広島県三次市の山間部にある市立青河小学校は全校児童数が20人、授業は2つの学年を一つにしたクラス(複式学級)で行っています。教師は、学年ごとに異なる内容を一人で同時に教えなくてはならないため、この小学校は、算数の指導を助けるロボットを導入しました。

A この日の課題は「二等辺三角形と正三角形」。問題の解き方が分からない児童がロボットに尋ねると、ロボットが解き方を分かりやすく解説していました。その後、児童が問題の解答を示すと、ロボットが点検して「合っています!」と応え、ほめたあと「次の問題もきっとできるよ!」と励ましていました。

B 一方、過疎地は高齢化が深刻で、急な坂道や階段が多い地域では住民の移動が大きな課題です。こうした中、高齢者が一人でも移動できるようサポートする乗り物の開発が進んでいます。自動車メーカーが開発中の4本脚の乗り物は、脚がバラバラに動くことで坂や階段も上り下りできて、買い物など日常的に使うことができます。

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ロボットが活躍
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AIが人間を超える


@ AI(人工知能)の判断を人間に近づけようという技術開発が加速しています。アメリカのエモリー大学で開発が進むのは「AIドクター」です。AIが患者を診断すると、本物の医師と1同じようにその患者にぴったり合った薬を処方してくれます。医師不足の山間部では将来、「AIドクター(医師)」が貴重な存在になるかもしれません。

A 今研究が進んでいるのは「AGI」と呼ばれる技術です。現在広く使われている「生成AI」は、人間が指示を打ち込むと人間が考えられる範囲内で答えを出してきます。ところがAGIは、AIがみずから考えを発展して、未解決の問題でも答えを導き出す能力を持っています。例えば、初めて見る洗濯物でもたたみ方を考え出します。また、不規則に動くボールを棒で打ち返すゲームでは、徐々に上達していったということです。

B AGIの開発が進む一方、リスク(危険)を心配する声もあります。AIが「人間は危険な生き物だから絶滅するべし」と判断を下す可能性もあります。また、AIが勝手に「新しい兵器をつくり出す」事態も考えられます。AIが人間を超える能力を手に入れた時(予想は2045年:シンギュラリティ)にどうするのかといった課題が、現実のものとして迫ってきています。

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AIが人間を越える
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ダイアオオカミ


@ およそ1万2500年前に絶滅した「ダイアオオカミ」がクローン技術によって復活、誕生しました。クローン技術とは、遺伝的に全く同じ動物を作成する技術のことです。アメリカでは、「世界で初めて絶滅からの復活に成功した動物」と発表。大昔のダイアオオカミのDNA(遺伝子)を取り出して、大昔に生きていたダイアオオカミとうり二つのダイアオオカミ作り出したとしています。

A 関係者の話によると、「ダイアオオカミのDNAは、1万3000年前の歯と頭蓋骨の化石からを取り出した。その後、遺伝子操作をした上で2024年10月、犬を代理母として雄2匹・雌1匹が生まれた。」と発表しています。3匹のダイアオオカミは現在、周囲は高さ3メートルのフェンスで囲まれた保護区で、警備員やドローン(無人機)、防犯カメラによって監視されています。

B コロッサルの最高動物責任者を務めるジェームズ氏は、「今後どんどん子孫を増やして、将来はダイアオオカミの群れを育ててみたい。」と語っています。今回の実験が進んでいくと、将来は絶滅したマンモスや恐竜なども復活出来るかも知れません。

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米の値上がり


@ コメの販売価格上昇は、去年夏頃から目立ってきました。5キロあたりで去年8月2,500円、9月3,000円。今年2月には3,500円を超え、3月に政府が備蓄米(=災害に備えて捕っておく米)を放出して以降も値上がりが続き、4月には4,000円を超えました。その原因は何でしょうか? 一つには、需要(=買いたい)が高まっているにも関わらず、米の供給(=売りたい)が減少していることです。米農家の高齢化と後継者不足によって近年、米の生産量の減少が社会問題となっています。

A 米作りにかかる生産コスト(=農業機械・肥料・燃料などの価格)が上昇し、経営難を理由に農業を辞める農家が増えていることも、米の値上がりの原因の一つです。また、国の政策による「減反政策(米を作りすぎて米の値段が下がらないよう生産調整すること)」の影響で、米の生産量が抑えられてきたことも、売られる米が減ったの大きな原因と言われています。

B さらに近年、海外で米の需要(=買いたい)が高まってきています。特にアジアや中東の国々では、日本産の美味しい米が人気を集めています。これも、値上がりの原因になっています。政府の備蓄米放出や、輸入米の活用などの対策も進められていますが、とりわけ生産コストの上昇が続く限りは、価格が以前の水準まで下がる可能性は極めて低いでしょう。

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※ 備蓄米放出=災害のために政府が買い貯めている米を売りに出す。

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夏のスキー場


@ 長野県白馬村のあるスキー場は、約70年の歴史があります。多いときは利用客が年間40万人に上りましたが、2000年頃からどんどん減ってきています。若者のスキー離れや暖冬の影響で雪不足となり、スキー場の多くが赤字(=儲からない)になっています。こういう現状を打開しようと、白馬村スキー場は「夏場の営業」に力を入れました。利用客数の回復のため、運営会社が始めたのが「グリーンシーズン(夏場の営業)」です。

A 2023年には高さ10メートルの巨大ブランコを設置しました。スリル満点の巨大ブランコは、絶景を楽しむことができるブランコです。また、斜面を勢いよく駆けおりる「マウンテンカート」も人気の一つです。2022年には乗馬体験も始めました。これらの取組みによって、去年は夏場の客数が冬場の客数を逆転するまでになりました。そして、2023年は夏・冬あわせた来場者数が約37万人に上り、2000年以降で最多となりました。

B 夏場のスキー場の活用事例は、他にもあります。群馬県沼田市のスキー場では約5万株のラベンダーを植えて人気の写真スポットになっています。また、鳥取県若桜町のスキー場では、夏に育てるのは難しいとされているイチゴを栽培し人気スポットとなっていま。

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厚底ランニングシューズ


@ 厚底ランニングシューズが登場すると一時期、箱根駅伝の全選手が履くなど、ランナーの間で大人気となりました。それ以前は、「薄底のランニングシューズ」が人気でした。薄底シューズは底が薄いので、走るときに安定します。また靴に頼らず自分の力で走るため、足に筋肉が付きやすいシューズです。

A 一方、厚底のランニングシューズは、炭素繊維(カーボンファイバー)を組み合わせたものが靴底に使われています。その魅力の一つは、クッション性があるので、足への衝撃が少ないことです。走っているときは、足に体重の3倍の負担がかかると言われています。厚底のランニングシューズは、足の負担を軽くしてくれます。

B 魅力の二つ目はかかとに厚みを持たせ、蹴った力を推進力(=前に進む力)に変えやすい構造となっていることです。厚底シューズはつま先部分がかかと部より薄いため、自然と前傾姿勢(前に傾いた姿勢)になります。足が前に出やすい造りになっているということです。そのためスピードが出やすくなります。魅力の三つ目はカーボン(炭素繊維)の跳ね返りにより、一歩あたりのストライド(歩幅)が伸びるということです。これによって、記録が伸びやすくなります。

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厚底シューズ
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地面を掘り進む


@ 私たちの足元にある地面は、岩石が細かい粒子となって積み重なった「土壌」と呼ばれる土で出来ています。厚さは、数p〜数mです。土壌は生物の死骸(死体)や排泄物(糞や尿)を含んでいるので、微生物がすみついて植物に栄養を与えています。

A この土壌を掘りすすむと、やがて硬い「岩石層」に到達します。これが「地殻」です。地殻の厚さは約30Kmあります。人類がボーリング(=土を掘る)で到達した最深記録は地下12Kmです。その場所は、ロシアのコラ半島。1970年に掘り始めて、じつに20年ほどかけて12Kmに達しました。しかし、掘り進む作業はここで行き詰まりました。原因は高温です。

B 地球の内部は、掘り進むほど高温になります。だいたい1Km掘り進むごとに、30℃上昇します。高温になると、土を掘るドリルが使い物にならなくなります。ドリルの先端の刃の部分には、ダイヤモンドを使っています。ダイヤモンドは人類が知るもっとも硬い物質ですが、実は熱に弱いのです。ダイヤモンドを高温にすると「鉛筆の芯」になります。ダイヤモンドを使わない何か別の方法を発明しない限り、地下12Km以上掘り進むことは出来ません。

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地面を掘り進む
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