@ 京都大学研究チームは、iPS細胞から作り出した「免疫細胞」(有害物質やウイルスなどを攻撃する細胞)でがんを攻撃する治療法について、患者での治験を始めたと発表しました。治験とは、「病気に効果があり、人に使用しても安全と予測されるかを人で効果を試す」ことです。研究チームはiPS細胞から、がんを発見して攻撃する「NK(ナチュラルキラー)細胞」という免疫細胞を作り出しました。これを「卵巣がん患者」の患部に移植する手術を実施したとのことです。
A 人の体内では日常的に、一日7千個以上のがん細胞が生じています。これらはすべて、NK細胞などの免疫細胞の攻撃で排除しています。が、免疫機能が弱まるとがんの発症につながります。卵巣がん患者は、国内で年間約1万人発生しています。このうち約20%の患者は、抗がん剤が効きにくいとされています。今回の治験は、こういう重症患者を救う目的で始められました。計画では健常者(健康な人)の血液から作ったiPS細胞を使ってNK細胞に変化させ、培養して大量に増やしてます。
B その際、患者自身からNK細胞を採取して培養・増殖し、体内に戻す治療法もありますが、十分な量を得るには時間も手間もかかります。この点、iPS細胞を使えば大量に増殖させることが可能で、多くの患者を十分な量のNK細胞で迅速に治療できるというよさがあります。