@ AI(人工知能)の判断を人間に近づけようという技術開発が加速しています。アメリカのエモリー大学で開発が進むのは「AIドクター」です。AIが患者の特徴や病歴などの情報を分析し、(今は特定の薬についてだけですが、)本物の医師と100%同じように薬を処方できるとしています。医師不足の山間部では、「AIドクター」は貴重な存在になるかもしれません。
A 今研究が進んでいるのは「AGI=汎用人工知能」と呼ばれる技術です。現在広く活用されている「生成AI」は、人間が指示を打ち込み限定的な範囲で答えを導き出します。ところがAGIは、AIがみずから考え、未知の問題でも解決できる能力を持ちます。例えば今、開発中のロボットは、初めて見る洗濯物でもみずから種類や向きなどを判断し、うまくたたむことができます。また、不規則に動くボールを棒で打ち返すゲームでは、AIは画面上の棒をみずから考えて動かし、徐々に上達していったということです。将来的には、AIに「感情を持たせる」開発をしていきたいとのことです。
B 開発が進む一方、リスク(危険)を心配する声もあります。AIが「人類は危険な生き物だから絶滅するべし」と判断する可能性もあります。また、AIが勝手に「新しい兵器をつくり出す」など、人間の制御が効かない事態も考えられます。AIが人間を超える能力を手に入れた時(予想は2045年:シンギュラリティ)にどうするのかといった課題が、現実のものとして迫ってきています。