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2024.3.26


小学校高学年教材の部屋


分身が会話


@ NTTは生成人工知能(AI)を活用し、その人の声や話し方を本物そっくりに似せて再現する「音声合成技術」を開発したと発表しました。それによると、性別や年令による特徴を盛り込んで再現するだけでなく、同じ言葉でも「喜び」「悲しみ」など、感情に変化をつけて発声できるようになりました。

A 実演では、本人と聞き間違えるほどの合成音声に成功しました。NTTの説明によると、将来的には自分の代わりに他人と会話する「デジタル分身」を誰もが持てるようになるとのことです。また、実際には自分自身がそこに参加していなくても、(命令されなくても)自律的に活動する分身が(インターネットの)仮想空間上で、自分に代わって、まるで自分のように自分らしく会話してくれるようになるとのことです。

B これが可能になると、会話している相手は本人なのかAI音声なのか区別が付かなかったり、フェイク(にせもの)音声が出回ったりするなど、ゆゆしき(見過ごせない)世の中になる可能性があります。しかし、その一方で病気などで失語した(話せない)人の声を復活させたり、他界した人(亡くなった人)とリアルな会話ができたりといった活用が見込まれています。

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分身が会話
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メタバース


@ コロナ禍によって、「テレワーク」(Tele(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語)や「リモート会議」(インターネット回線を用いて会議を行う仕組み)はもちろん、コンサートなどのイベントも「ライブ配信」(リアルタイムで現場の様子を観ることが出来る)で開催されることが当たり前になりました。こうした中、新たに導入され始めている技術が「メタバース」です。

A メタバースとは、仮想空間(ネットワーク上で人々が現実世界のように交流する場)のことです。インターネット上の世界で自分の分身(アバター)が動き回れます。メタバースの世界では、他の参加者とコミュニケーション(会話)が出来る点が特徴です。メタバース内で買い物をしたり、コンサートなどのイベントを楽しんだりすることもできます。

B 愛知県岡崎市では、重要文化財である「大方丈障壁画」をメタバース上に公開しています。立体メガネをかけて見学すると、壁画が部屋をぐるっと一周するようにパノラマ式(広い視野で見学できる方法)で工夫されているため、まるで実際に目の前で見学しているように鑑賞できます。このように、観光分野におけるメタバースの活用も広がっています。もともとはコロナ禍におけるイベントに替わるものとして始まった「メタバース」ですが、今後は更なる発展活用の可能性を秘めているといえます。

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メタバース
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お試し商法


@ 通常一袋5,000円の健康食品が「初回、お試しで500円」という広告を見て、一回のお試しのつもりで購入したら、2万円請求された。スマホの画面をスクロールした下の方に、小さい文字で「最低5回は買わなくてはいけない定期購入の契約だ」と書いてあった。こういう悪質な「お試し商法」による被害が広がっています。

A 他にも、「いつでも解約できる」と表示されていたので解約しようとしたら、いくら電話をしてもつながらなかったり、電話はつながったが「解約するなら違約金として通常価格との差額分4,500円を払うことが条件だ」と言われたりする例などがあります。また、お試し価格での購入を申し込んだ後に割引クーポンが表示されたため、それを利用して更に安く買った後に解約しようとしたら、「クーポンを利用した場合は解約できない条件になっている。」と言われた例もあります。

B こういうトラブルを受けて去年6月、特定商取引法という法律が強化されました。事業者に対して支払総額や解約の方法・条件などを、分かりやすい場所、大きさ、色などで表示することを義務付けました。消費者側も安いからとか、お試しだからとかというお得感に引かれて商品を購入しないよう、くれぐれも気を付けることが重要です。

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中年太り


@ 大昔の人類は、現代のようにいつでも食事が摂れる状況にはありませんでした。そこで、エネルギーに使わなかった栄養は脂肪として体内に蓄える体になりました。蓄えられた内臓脂肪は、飢餓(お腹が空いた)のときに燃やしてエネルギーにすることができます。しかし、現代はいつでも食べられます。若い男性は基礎代謝やエネルギー消費量が高いので、たくさん食べても脂肪が付きにくいのですが、気を付けないと40歳前後から中年太りが始まります。

A これに対して、女性はもともと女性ホルモンの働きにより、内臓脂肪ではなく、皮下脂肪として蓄積されやすい特徴があります。全体的にぽっちゃりとして、お腹が目立って出てくることはあまりありません。しかし、女性も50歳前後から中年太り(内臓脂肪型の肥満)が始まりやすくなります。女性ホルモン働きが急激に弱くなるからです。

B 男女とも注意すべきことは、中年太り(内臓脂肪型の肥満)のような肥満かどうかです。基本的に内臓脂肪型の肥満は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスク(危険性)が高くなります。ただ、筋肉量が多く体脂肪が少ないと、生活習慣病の心配はあまりありませ。

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年賀状じまい


@ 「年賀状じまい」(年賀状のやり取りを辞める)をする人が年ごとに増えています。日本郵便によると、2024年用は14.4億枚で前年比12%減(100から88まで減少)、14年連続の減少となっています。高齢者100人を対象とした調査によると、年賀状をやめた50人の理由は「意味が見いだせなくなった」(27人)が最も多く、「終活や断捨離の一環」(22人)が続いています。また、やめていない50人からも「慣例だからしょうがなく続けている」(5人)、「そろそろやめたい」(6人)との意見がありました。
※ 終活=より良い最期を迎えるための準備。  ※ 断捨離=不要な物を捨ててスッキリする生き方。

A 一方で、完全に年賀状のやり取りを辞めた高齢者に聞き取りをしたところ、「誰ともつながりがなくなった」「元日に何もなく、心にぽっかり穴が開いたようだ」との声が聞かれました。また、相手が亡くなったことが分からなかったり、数年後に知ったりするケースも出てきているとのことです。

B そこで、「やめる」「やめない」の二択ではなく、「出したい人」と「出さなくていい人」を仕分けし、数年かけて枚数を減らすという方法が考えられます。例えば、これからもずっと心を通わせ合っていきたい存在のなどは、「出したい人」の候補となります。

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吸血ハエ


@ サシバエは、普通のハエと違って哺乳類から血を吸う昆虫で、特にウシやウマなどの家畜にとっては深刻な問題です。サシバエに襲われたウシはストレスから運動量や食欲が落ちたり、不眠などの症状を引き起こしたりします。そのため、乳牛が出す乳の量が大幅に落ち込んでしまいます。畜産業者は殺虫剤を使用するなどして対策を講じてきていますが、強力な殺虫剤は環境汚染や人間やウマ・ウシへの健康被害が出ます。その上、サシバエはすぐに殺虫剤に対する耐性を獲得(=効きめがない)してしまいます。

A そこで、ハエ対策を研究していた愛知県農業総合試験場の研究者らは、「シマウマのしま模様には昆虫が体に止まりにくくする効果がある」という話に着目し、実際にウシにしま模様を付ける実験を行いました。具体的には、6頭の黒毛和牛を「白黒のしま模様のウシ」「模様を付けないウシ」に分けて、同じ場所にロープでつなぎました。1分間ごとの写真撮影を30分間行う観察を、朝と晩の2回に分けて実施しました。

B 3日間の観察実験の結果、しま模様が描かれたウシに付いたハエの数は4分の1で、しっぽを振ってハエを追う行動も大幅に減りました。研究グループは「ウシやウマに塗る塗料が開発されれば実用化が可能。」と結論付け、新たなサシバエ対策を発表しました。

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がんウイルス療法


@ 「がんウイルス療法」と呼ばれる、「がん治療」の研究が進んでいます。「ヘルペスウイルス」という、口に水泡(できもの)を作るウイルスを使って、がん細胞だけを殺して正常細胞は傷つけないように、ウイルスを作りかえるという方法です。がん細胞を破壊したウイルスは、細胞膜を破って広がります。こうやって、周りのがん細胞を次々に破壊するのです。

B 実はがん細胞は、そのヒトの細胞から発生しているため、免疫(自分と違う物質を攻撃する)を働きにくくするという性質を持っています。他の病原菌やウイルスのように攻撃されにくいのです。ところがヘルペスウイルスに攻撃されると、この特徴が無くなってしまいます。ヒトの体の免疫機能が働くようになり、がん細胞が攻撃されるようになるのです。

C 東大医科学研究所では、がんの中でも特に治療困難と言われる悪性の脳腫瘍である膠芽腫(こうがしゅ)を対象にして研究を進めてきています。これまでの「治験(=効果や副作用を調べる実験)」では副作用がないこと、3ヶ月生存が5年生存まで伸びることなどが確認されています。この成果を基に、現在ではさらに延命を伸ばすとともに、他のがんへと応用範囲を広げて研究を進めています。

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死の病
エボラ出血熱


@ 致死率が90%という人類史上もっとも危険で、圧倒的な破壊力を持つのが、エボラ出血熱です。この病気にはまだ治療薬がありません。そういう中にあって治療薬開発に長年取り組んでいる日本人科学者がいます。ウイルス学者、北海道大学の高田礼人(46歳)氏です。

A 高田氏のエボラウイルスとの戦いは、20年前(27歳のとき)にまでさかのぼります。エボラウイルスは5種類あります。この全てのウイルスを退治出来る「抗体」を探すため、数億の物質の中から地道な研究を重ねてきていました。そしてついに、ほとんどのウイルスを殺す抗体を発見しました。「新薬」の開発につながる大発見です。

B ところで20年前、高田氏がエボラ出血熱と出会って一年後、猿モデルを使ってエボラ抗体を発見しました。にもかかわらず、世界中の製薬会社から何の問い合わせもありませんでした。いちばんの理由は、「エボラ出血熱はアフリカ風土病。罹るのはアフリカの限られた地域で、せいぜい年数百人程度。とても製品化しても儲からない。」でした。しかし近年、エボラ出血熱は世界中に広がり、人類にとって大きな脅威となっています。新薬づくりには現在のところ高額です。高田氏は、より安く作れる抗体を求めて今も全力をあげて研究中です。未来のために、人類のために淡々と。

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エボラ出血熱
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