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2025.3.21


小学校高学年教材の部屋


少子化


@ 厚生労働省は6月5日、去年の「人口動態統計」を公表しました。現在の人口を維持するためには、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の平均)が 2.07とされていますが、去年は 1・20で、記録のある1947年以降の最低となりました。なお、出生率が最も高かったのは沖縄県1.60、島根県は6番目に高い 1.46でした。この結果、出生数は前年比4.3万人減の72.7万人で、過去最少を更新しています。

A ここ数年、日本の人口は約70万人ずつ減少しています。島根県の人口が68万人ですから毎年、島根県の人数ぐらい減り続けているわけです。このまま少子化が進めば、「2040年までに全国の地方自治体(=市町村)の半数が消滅する」という推計も出ています。

B 厚生労働省は「少子化の原因は経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなどがある。婚姻率を上げる対策が必要だ。」としています。実際、30歳〜34歳で見た場合、正社員の59%が結婚しているのに対して、非正規社員では22%となっています。近年、円安による物価上昇が続くなど、生活不安も高まっています。まさに国の少子化対策は待ったなしです。。

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※ 正社員の1人当たりの平均年収は523万円に対して、
非正規社員(アルバイト、パート、派遣社員など) の平均年収は201万円となっており、
両者には2倍以上の差があります。


少子化
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カスハラ


@ カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、客からの暴行・脅迫・暴言などの迷惑行為のことです。「顧客(カスタマー)+嫌がらせ(ハラスメント)」を組み合わせた用語です。最近、カスハラによって従業員が心身に不調をきたすなどの現状をマスコミが取り上げるようになっています。自治労(全日本自治団体労働)が1万4千人に行った調査では、住民から迷惑行為や悪質なクレーム(苦情)といったカスハラを受けた人は46%、カスハラを目撃したケースを含めると76%に達している実態が浮き彫りになりました。

A カスハラと似たものに、「クレーム」があります。一般的にクレームとは、顧客からの苦情や改善要求を指します。正当なクレームへの対応は企業の改善や成長につながるため、クレームにはその内容に応じて適切に対応するのが原則です。ただ、クレームの中でも企業や従業員に対して「行き過ぎたクレーム」も存在します。これが、カスハラに該当すると考えられています。

B カスハラは、どの企業にとっても他人事ではありません。カスハラの被害に遭った場合に備え、企業はあらかじめ対応基準を設けて、社員同士が共有しておく必要があります。カスハラの被害から従業員を守ることは、企業にとっての責務でもあるからです。

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カスハラ
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テロメア


@ 皆さんは「テロメア」という言葉をご存じですか? テロメアは細胞の染色体の末端(いちばん端)にある特殊な構造物で、その長さを見ると人の寿命が分かると言われています。テロメアの本来の役割は染色体の保護と、染色体の同士がくっつくのを防ぐことにあります。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていき、ある程度まで短くなると細胞はもう分裂できなくなります。そのため「老化の回数券」と呼ばれることもあります。
※ 染色体=その人特有の遺伝子が記録されている場所。右下のイラストの通り。

A カリフォルニア大学予防医学研究所の研究によると、テロメアが短い人は動脈硬化が進んでいたり、がんになりやすかったりしていることが確認されています。ただ、テロメアの長さは「細胞の老化度」を見るひとつの尺度にはなりますが、テロメアの長さだけ見て単純に寿命を判断することはできません。

B 同研究所は、35人の男性のうち15人に生活習慣の改善を指導しました。低脂肪で野菜や果物の多い食事、週5回以上の運動、ストレス管理など、トータルで「健康的な生活」をしてもらいました。そして、5年後にテロメアの長さを測ると、何もしなかった人たちが3%短くなっていたのに対し、指導を受けたグループは逆に10%長くなっていました。テロメアの長さだけを見れば「若返った」わけです。

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テロメア
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iPS細胞


@ iPS細胞とは、人間の皮膚などの細胞を培養する(増やす)ことによって、別の臓器の細胞に変化させることができる細胞(人工多能性幹細胞)のことです。このiPS細胞を活用した、医療への応用は2種類あります。一つは「再生医療」です。例えば、失った視力回復を目指し、患者のiPS細胞から作成した網膜の細胞を使った移植手術がそれです。

A もう一つは「難病の治療薬開発」です。これまでの新薬開発は原因物質(病気の原因となったもの)を探り当て、それに効く薬を造り出すという方法がとられてきています。ところがマウス実験で成功しても人間には効かなかったり、重い副作用(薬を飲んだために起こる症状)の危険があったりして、新薬の開発には多くの時間と費用と労力がかかります。

C その点、このiPS細胞を活用した治療薬開発は、これまでの新薬開発とは全く方法が違います。実際に人間に薬を投与する前に、効くか効かないか、副作用あるかないかについて、iPS細胞を使って試験管の中で(細胞段階で)調べることが出来るのです。したがって、たとえ患者が少ないために新薬開発が難しいケースでも、iPS細胞を使った結果を基に「新薬の承認(許可)」が可能になりました。

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ipS細胞の活用
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ご飯とパン


@ 食事は人間にとってとても大切なものです。食事の中には、主食・副食があります。主食はパンやご飯、主菜はおかず、副食はサラダ・味噌汁などのおかずのことです。

A みなさんの中には、ご飯が好きな人もパンが好きな人もいるでしょう。では、ご飯とパン、いったいどちらが主食に適しているのでしょうか。まずは、パンのよいところを考えてみましょう。パンはサンドイッチやハンバーガーなどにすると、主食も副食も一度に摂ることができ、急いでいる時など大変便利です。しかも、パンには三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質がすべて含まれている優れた食品です。

B 次に、ご飯のよいところを考えてみましょう。ご飯もパンと同じように三大栄養素がすべて含まれています。しかし、パンと違うところは、カロリーと脂質が少ないというところです。カロリーも脂質も取りすぎると、さまざまな病気(特に生活習慣病)の原因になります。その点、ご飯は脂質の少ない低カロリー食品といえます。このように、パンとご飯のどちらにも、それぞれいいところがあります。時と場合に応じて、両方のよいところを上手に使い分けた食生活を送っていきたいものです。

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ご飯かパンか
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エボラ出血熱


@ 致死率が90%という人類史上もっとも危険で、圧倒的な破壊力を持つのが、エボラ出血熱です。この病気にはまだ治療薬がありません。そういう中にあって治療薬開発に長年取り組んでいる日本人科学者がいます。ウイルス学者、北海道大学の高田礼人(46歳)氏です。

A 高田氏のエボラウイルスとの戦いは、20年前(27歳のとき)にまでさかのぼります。エボラウイルスは5種類あります。この全てのウイルスを退治出来る「抗体」を探すため、数億の物質の中から地道な研究を重ねてきていました。そしてついに、ほとんどのウイルスを殺す抗体を発見しました。「新薬」の開発につながる大発見です。

B ところで20年前、高田氏がエボラ出血熱と出会って一年後、猿モデルを使ってエボラ抗体を発見しました。にもかかわらず、世界中の製薬会社から何の問い合わせもありませんでした。いちばんの理由は、「エボラ出血熱はアフリカ風土病。罹るのはアフリカの限られた地域で、せいぜい年数百人程度。とても製品化しても儲からない。」でした。しかし近年、エボラ出血熱は世界中に広がり、人類にとって大きな脅威となっています。新薬づくりには現在のところ高額です。高田氏は、より安く作れる抗体を求めて今も全力をあげて研究中です。未来のために、人類のために淡々と。

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エボラ出血熱
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月の地下


@ 2018年1月、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、月の地下に延びる巨大な洞窟を発見しました。これは、月周回衛星「かぐや」の観測で突き止められました。「かぐや」には、月の地下構造を調べることができる「月レーダサウンダー」が積み込まれています。このレーダーで地下を観測したデータを分析した結果、月の表側に長さ約50キロにわたって洞窟が延びていることが分かりました。洞窟は縦穴につながっているとみられ、地表からの深さは最大で数百メートル。幅は100メートル前後と考えられています。

A ここは約35億年前に溶岩が流れた場所です。長い年月をかけて表面(月面)だけが冷えて固まって残り、溶岩が流れた内部はその後に空洞が生じたとみられています。同じ仕組みでできる洞窟は富士山麓などでも発見されています。月の地下空洞は隕石により破壊されている月面とは異なり、「水」が見つかる可能性があります。

B また、将来の月面基地建設地の候補としても大変重要です。地下にあることで月面の厳しい環境(隕石の衝突や強い放射線)から機械や人を守れることや、空洞内の温度が安定していることなど多くの利点(よさ)があるからです。

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火事場の馬鹿力


@ 人間とは実に不思議なもので、命が危ない場面など緊急事態の状況に置かれると、普段では到底考えられないようなパワーを発揮することができます。これが「火事場の馬鹿力」です。火事や地震などの災害時に、寝たきりの人が自力で逃げたとか、普段ではとても持ち上がらない重い金庫を一人で持ち上げたとかの事例が、たくさん報告されています。

A 私たちの身体には、たくさんの筋肉や骨が存在します。これらのパワーを100%発揮した状態で体を動かし続けると、体がボロボロになってしまいます。そのため、筋肉や骨が壊れれるのを防ぐために、人間の脳にはあらかじめ安全装置があって、発揮できるパワーに制限が設けられています。最大発揮しても全力の70〜80%程度という研究結果があります。

B ところが、緊急事態の場面に出合うと脳の安全装置が外れ、限界を超えて100%のパワーが発揮されるようになります。スポーツの分野で科学的に証明されるとともに、一流選手の多くが実際に活用しています。脳の安全装置を意識的に外すためには大きな声を出したり、心の中で「自分はできる!」と自己暗示をかけたりすると効果的だとされています。皆さんも、スポーツの大会や試験などの時に大いに活用しましょう。

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火事場の馬鹿力
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