@ 皆さんは「テロメア」という言葉をご存じですか? テロメアは細胞の染色体の末端(いちばん端)にある特殊な構造物で、その長さを見ると人の寿命が分かると言われています。テロメアの本来の役割は染色体の保護したり、染色体の同士がくっついたりするのを防ぐことにあります。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていき、ある程度まで短くなると細胞はもう分裂できなくなります。そのため「老化の回数券」と呼ばれることもあります。
A カリフォルニア大学予防医学研究所の研究によると、テロメアが短い人は動脈硬化が進んでいたり、がんになりやすかったり、心疾患や脳血管疾患のリスクが高くなったりしていることが確認されています。ただ、テロメアの長さは「細胞の老化度」を見るひとつの尺度にはなりますが、テロメアの長さだけ見て単純に寿命を判断することはできません。
B 同研究所は、35人の男性のうち15人に生活習慣の改善を指導しました。低脂肪で野菜や果物の多い食事、週5回以上の有酸素運動、ストレス管理など、トータルで「健康的な生活」をしてもらいました。そして、5年後にテロメアの長さを測ると、何もしなかった人たちが3%短くなっていたのに対し、指導を受けたグループは逆に10%長くなっていました。テロメアの長さだけを見れば「若返った」わけです。