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2025.6.18


小学校高学年教材の部屋


田んぼに水を張る理由


@ 田んぼに水を溜めるという大発明によって、日本ではコメを安定的に栽培できるようになりました。稲が育つ土は、作土層(さくどそう)と言って、養分や有機物を含んでいます。作土層は、一枚の田んぼの中で養分が平均的でなければなりません。そこのところは、水田にして代掻きをすることで解決しました。

★ 代掻き=田植え前に田んぼに水を張り、土を細かく砕いて均一にならし、田面を平らにする作業。


A 作土層の下は、鋤床層(すきどこそう)と言って人や機械を支える働きをします。水田を造るときは、まずこの層を固くします。水を漏らさず、しかし全然漏らないのも困るため、微妙な固さにする必要があります。また、畦(あぜ)は田んぼに水を溜めるための壁です。「畦塗り」で防水加工をします。畦は苗や肥料、収穫した稲を運ぶ通路でもありす。

B ところで、稲はもともと熱帯の作物で、日本の土壌はお米を育てるのに向いていたわけではありませんでした。しかし、田んぼに水を溜めるという大発明によって、すべてを解決したのです。水を溜めることにより、山から流れ出た水に含まれている「(窒素やリン酸など)天然の肥料」を利用できます。また、水を溜めることによって「連作障害」がなくなり、同じ作物を毎年栽培し続けられるのです。

★ 連作障害=同じ作物を同じ場所で繰り返し栽培すると土壌環境が悪化し、作物の生育が不調になる現象。

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水を張らない田んぼ


@ 農林水産省の試算によると、コメなどを生産する(個人や団体の)数は、2020年の60万から2030年には27万と、半分以下に減る見通しです。そういう中にあって、「水を張らない田んぼ」に直接種をまき、液体肥料を使う方法でコメづくりが行われています。埼玉県杉戸町の農業法人(従業員5人)では、2024年から、この方法でコメ作りを始めています。

A 代表の山アさんは、「これまでは40年以上、田んぼに水を張っていました。通常、水田で稲を育てる場合、土を耕して水を張って平らにし、育てた苗で田植えをする必要があります。それに対して乾いた田んぼの場合は、耕した土に直接種をまきます。作業量が一気に減ります。」 山アさんの田んぼでは、4月〜7月の繁忙期(忙しい時期)の労働時間を7割(70%)も減らせたそうです。それまで乾いた田んぼでの課題は、養分が不足し育ちが悪いことでした。この課題を克服できたのは、ビール酵母を活用した液体肥料です。

B この肥料は、ビールを造るときに出来る(捨てる)物質から作られます。この肥料を種に吹きかけると稲が病気に感染したと勘違いし、養分をたくさん吸収しようと細かい根を張りめぐらします。これによって、肥料を使わなかった場合に比べ育ちが良くなのです。山アさんによると、炊きあがったごはんは「非常にお米がきれいで、粒が大きい」とのことです。

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減反政策


@ 政府は、1971年から2018年まで「減反政策」を行って来ました。減反政策とは、「コメを作りすぎることによる値崩れしない(値段が安くならない)ための政策です。この間、農家は「休耕(=田を耕さない)」や、「転作(コメ以外の作物を作る)をさせられてきました。2018年以降は減反政策は廃止になりましたが、実は以後も転作を促す補助金制度(コメ以外の作物を作れば補助金が出る)を行ってきており、実際には減反政策が続いているのです。
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A これらの政策によって農家に補助金(毎年3,500億円)を支出し、コメの生産を減らしてきました。ところが2年前、猛暑などによって米の収穫量が減り、これが一つの原因で昨年8月、店頭から米がほとんどなくなるという事態が生じました。

B ところで、減反政策をやめるとどうなるでしょうか? コメがたくさん出来て、その分コメが安くなります。消費者にとっては喜ばしいことです。一方、米が安くなると農家は経営が苦しくなります。その苦しい所を補助金で支援すれば、農家への補助金(1500億円)が必要とされています。しかし、その資金は「転作を促す補助金制度」廃止によって浮いた3,500億円を使うことで賄えます。こうすれば、米を作る人、米を買う人、両方が助かります。

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水で走る車


@ トヨタ自動車は水素で走る車「燃料電池車」を開発し、実際に「ミライ」という乗用車が走っています。ただ、ガソリンスタンドに当たる、(燃料を充填する)水素ステーションが全国でわずか181カ所です。そのため、国内のの導入台数は7,755台で、普及していません。
※ 充填=満たす・いっぱいにする。

A ところで、この「燃料電池車」の仕組みを発展させて、トヨタは「水で走る車」を開発しています。燃料は水です。電気分解によって、水から水素と酸素が発生します。水素は燃料としてエンジンに送られ、酸素は水素を燃焼させるときに利用します。トヨタの新技術は、外部からの水素供給が不要です。つまり「水」さえあれば車を走らせることが出来るのです。

B このエンジンは二酸化炭素を排出しません、出るのは水だけです。しかも、トヨタの水エンジンは、水1リットルで約20キロメートル走行できます。トヨタは数年以内にこの技術を実用化するとしています。これが実用化すれば、石油が不要になります。高額でなかなか将来が見通せない「(太陽光発電・風力発電など)再生可能エネルギー」も必要なくなります。エネルギー源は「水道水」のみです。水道水で家庭の電力がまかなえます。まさに「エネルギー革命」です。この革新的な技術は、人間の未来をどのように変えていくのでしょうか?

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