@ 植物や微生物などを使って、人に役立つ物質を作らせる「生物工場」に注目が集まっています。イネにスギの細胞から取った遺伝子を組み込むと、食べるだけで花粉症が治る物質が誕生します。イチゴの細胞に犬の遺伝子の一部を組み込むと、歯周病治療薬ができます。大腸菌の遺伝子に樹脂を作る菌の遺伝子を組み込むと、なんと大腸菌がプラスチックを作り出すようになります。
A 生物工場として、最も注目される企業がアメリカにあります。売り上げは、この5年で3倍になりました。急成長を支えているのが、製品の種類の多さです。お酒やパンに使われる「酵母」を生物工場にして、全ての製品が生み出されています。例えば、車のオイル・タイヤの素材・ビタミン・薬・化粧品・香水など、現在は数百種類の製品を製造・販売しています。
B 世界で開発競争が激しくなる中、日本の切り札(=いちばん優れている)はカイコです。5千年にわたる交配の結果、さまざまな分野に役立つよう品種改良が進んでいます。例えば抗がん剤を作ったり、ワイヤーより強い糸を作ったりするなど、日本独特の物質も生み出しています。この生物工場の技術は今後、身近な暮らしを豊かにし、地球環境の課題を打ち破る鍵になるかもしれません。