子どもの学力

読解力で決まる

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2014.8.10(日)


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 過日、M図書館で上掲の本を読みました。興味深い内容だったので、斜め読みしながら大雑把に図式化して読み進めました。

 今回は、この本の図式(概要)を紹介します。

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前半





後半













この世を生き抜く力を得る


 読解力を鍛えると、「善悪の判断」が的確になります。また、「共感力」が育ち、他人を理解したり懐が深くなったりします。結果、寛容力が育つとともに、人を傷つけない心が育ちます。

 つまり、読解力を鍛えると「この世を生き抜く力」が育つことにつながっています。

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コメント
「高次の情緒力」という言葉があります。
これについては
以前
コメントの部屋で
取り上げたことがあります。



18.12.17(日) 高次の情緒力
22.02.28(日) 高次の情緒力を育てるために








要約力 + 伝達力
そして
コミュニケーション力


 読解力が伸びると、「要約力」と「伝達力」が伸びます。逆に言えば、「要約力」と「伝達力」が高いということは、「読解力」も高いということです。

 「伝達力」に関して重要なことは、「自分の言葉」がまわりの人にどんな影響を及ぼすか、ということを認識することです。

 また、読解力が伸びることによって「イメージ力」が豊かになり、まわりの人への対応力(主としてコミュニケーション力)のレベルが上がります。

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コメント
私は今
「要約学習」に力を入れていますが
まさに読解力そのもの
という認識を強くしています。








書き言葉を仕入れるべし!


 読解力と関連して、「書き言葉」を大量に仕入れる必要があります。「書き言葉」は言い換えると「語彙力」です。この語彙力を伸ばすためには、何と言っても「読書」です。未知の漢字・熟語については、「ルビ」が必要です。子どもの頃から、名作に親しむよう環境づくりが大人の使命です。

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コメント
日常生活では
音声言葉 を聞いて
内容理解が原則です。

したがって
基本的に
取り交わされる単語や表現は
平易な言葉になりがちです。

しかし
本の中では
日常生活ではあまり登場しない
単語や言い回しが出てきます。
物語には
豊かな表現も沢山出てきます。
倫理的な文章には
抽象的な言葉も
いっぱい登場します。

それに耐え
乗り越えていく体験は
幼児期から重要です。

日常生活ではお目にかかれない
「書き言葉」「語彙」を
どん欲に取り入れていくことが
読解力養成には欠かせません。




18.08.13(日) 書くことは正確な人をつくる
17.01.02(日) 書き言葉を話せるようにする









情緒も安定します


 語彙力が伸びると、情緒が安定することが知られています。語彙力が貧弱だと、「悲しい」「嬉しい」という大雑把なとらえ方しかできません。

 その点、語彙力が伸びると、自分の中にわき起こるさまざまな感情を微妙に表現でき、自分の中で処理できます。

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コメント
語彙力が伸びると
情緒が安定するという図式は
さまざまな子ども達に接してきて
私もそう思っています。

例えばキレる子の場合
「うぜぇー」
「ぶっ殺してやる」
「むかつくぅー」
「てめぇー」
………………

キレた原因
そのときの気持ちを尋ねても
うまく説明できません。
表現力が貧弱ということもあります。
短絡的ということもあります。
それ以上に
語彙が圧倒的に少ないということを
さまざまな場面で知りました。




 19.02.25(日) 子どもはなぜキレるか
 








まるで車の両輪のごとく


 読解力には、相反する二つの側面があります。

 一つは、「客観的な理解」です。文章を正確、的確に読みとることです。

 もう一つの相反する側面は、「主観的な読み込み」です。読んだ文章内容に関する「コメント力」です。「小論文」もこの一つに入ります。

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コメント
受験学力は
「客観的な理解」を求めていました。

「新しい学力観」の考え方が
学校教育に入ってきてからは
「ピサ型学力」がマスコミに登場しました。
まさに
「主観的な読み込み」です。

入学、入社試験で
小論文が重視されるようになったのも
私は
この流れと了解しています。



19.12.09(日) PISAの結果を受けて








後半(再掲)









親子の会話


 読解力を伸ばす基盤は、「親子の会話」にあります。例えばテレビを見た後、「どんな話だった?」と尋ねたり、「どう思う?」と感想を求めたりするのです。

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コメント
フィンランドの教育を語るとき
この親子の会話は
必ず出てきます。
日常会話だけではなく
社会情勢などに関しても
親子で意見交換すると聞きます。
家庭で自然に身に付く
メディアリテラシーです。

ひるがえって
日本ではどうでしょうか?
私はどうだったでしょうか?

共稼ぎ
核家族化が
主流となってきている日本です。
親子ともに
ゆとりが少なくなっているのでは?

危惧している今日この頃です。









音読と暗誦


 読解力をつける方法として、寺子屋・藩校時代から行っていることが「名文暗誦」(論語などの素読)です。

 「早口でテンポよく音読」するのも読解力を伸ばします。ただ音読するのではありません。「読んでいるその先を、目は読んでいる。」という読み方をするのです。

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コメント
名文暗誦については
私自身の体験
私の教育実践から
確かに言えます。

一方
「早口でテンポよく音読」というのは
始めて目にしました。
アナウンサー朗読は
目は先を読んでいるそうです。
そのことを聞いたときから
私も教室で
子ども達にそう指示して
音読をさせていました。



19.02.04(日) 朗読・暗誦などを取り入れた国語教育 (前半)
19.02.11(日) 朗読・暗誦などを取り入れた国語教育 (後半)

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実用日本語力の向上を!


 読解力を伸ばす秘訣の一つが、新聞の活用です。新聞からは「実用日本語力」(実用的な場面で利用される日本語の力)を伸ばせます。

 「書き写す」という方法があります。こうすることで、文章が体にしみ込みます。「切り抜く」という方法もあります。この積み重ねは、「メディアリテラシー」(主体的、批判的に読み解く力)の力量アップにつながります。

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コメント
新聞の社説を書き写す
要約する
という学習方法は
読解力を伸ばす王道として
全国各地で実践がなされ
その成果が報告されています。
「急がば回れ」です。







車の両輪


 上記「親子の会話」と同じ理屈です。

 本を読んだら、あらすじを話させるようにします。また、内容に関して感想やコメントを求めます。「面白かった」という表層的な感想ではなく、「どんな風に面白かったか?」という側面を大事にします。

 「読書感想文」は、本文の引用とそれに関するコメントが基本とされています。それと同じことを幼児期から重ねることが、読解力養成につながります。

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コメント
齋藤 隆さんは
そう難しいことを
要求しておられるわけではありません。

家庭で
学校で
心がけさえすれば
いくらでも実践できることです。

ぜひぜひ
読解力の重要性と
齋藤さんのアドバイスを
一人でも多くの人に
知ってもらいたいと願っています。







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