人手不足をどうする?
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2023.4.8


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人手不足倒産


@ 全国展開する大手ファミリーレストラン「ガスト」では、働き手が不足することを理由に去年、大半の店舗で24時間営業をやめました。1月31日、財務省が発表した調査でも7割を超える企業が「人手不足を感じている」と回答しています。首都圏で40年以上続いた運送会社の場合、せっかく取引先からの注文が増えているのに人手不足が原因で経営に行き詰まり、去年8月に倒産しました。それまでは、ドライバーが退職してもすぐに補充できていましたが、応募がぱったりこなくなったといいます。ピーク時に16人いた社員は、破産直前には8人に半減しました。

@ 15歳〜64歳を「生産年齢人口」といいます。最も多かった1995年に比べて、最近は約1,000万人も減少しています。2050年には更に2,000人以上減ると予想されています。そうなると“人手不足倒産”は今後さらに増えていくと思われます。。

B この現状への対策ですが、退職しても意欲も能力もあるシニア世代(65歳以上)に活躍してもらうことが当面の対策として効果的です。また、AI(人工知能やロボット)も、今後大きな打開策となると思われます。すでにコンビニでは、無人レジの導入に向けた動きが出ています。開発が加速する自動運転車の活用も今後、期待できそうです。また、外国人労働者のさらなる雇用も考えられます。働き手が足りず倒産する企業を防ぐ手だては待ったなし、喫緊の課題となっています。。

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上の文章は
要約学習に向けて作成した
教材の一つです。




人手不足の世の中


 東京商工リサーチの調査の発表(4/6)によると、2022年度の倒産理由が次のようであったとのことです。
42% 従業員の退職
37% 求人難
22% 人件費の高騰

 需要があるのに、人手不足で会社が立ち行かなくなるとは何という世の中! 残念至極な話です。報道によると大学生の就職戦線は、就職氷河期時代(バブル崩壊後の1993年から2005年卒業で就職活動に差し掛かった年代)と様変わり。

 特に金融恐慌とITバブル崩壊の影響を受けた、2000年代前半は「超就職氷河期」とも呼ばれていましたが、今や立場は入れ替わって、売り手市場と化しています。

 もっとも、非正社員が40%近い日本の現状です。外食産業など、離職対策として「非正社員の正社員化」が始まっているようですが、依然として(いつでも解雇出来る)非正社員を含めての人手不足現象には違いありません。

 それにしてもマスコミ報道によると、つい近年まで大学生が就職活動に悪戦苦闘をしていたはず。30社以上受検して内定が取れないとガックリ肩を落とす映像など、よく放映されていました。

 流れが変わったのは、安倍首相が「日本再興戦略」(アベノミクス)を打ち出してからです。視点を変えれば批判があるにしても、安倍首相の功績は小さくありません。

 いずれにしても、日本はここ30年間で賃金は据え置き状態が続いてきていました。物価も平行線だったので、生活面からは変化がないはずですが、統計から見て明らかに貧富の差が広がりました。

 さて、人手不足の解決策ですが、高齢者・AI(人工知能やロボット)・外国人労働者が挙げられます。

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対策(1)
高齢者


 かくいう私は、高齢者という自覚のない72歳。近年富みに夜出掛けるのが大儀になってきた感覚はありますが、気分は中年(感覚としては50歳代)。食事と運動を心がけているおかげか、現在のところは健康診断も特に問題なし。薬要らずの、まずは健康的な日々を過ごしています。

 年齢と体力気力とは個人差があります。同窓会で集うたびに、個人差の大きさを強く感じます。今や少子高齢化の時代です。働く意欲・気力・体力があれば、年齢を問わず働く世の中が現実的だと思います。

 実際、公的年金の支給が65歳となった日本です。60歳で収入源を絶たれたら早晩、生活が破綻します。将来に不安が広がります。やむなく働かざるを得ない社会状況にもあります。

 高齢者を65歳から75歳に変更しようという動きがあります。年金行政の解決策という向きもありますが、働く高齢者が増えれば納税者も増えます。人手不足も解消し、一石二鳥です。超高齢化社会に突入した今、働く体力・気力・やる気さえあれば働けるまで働く社会。これが自然の流れかも知れません。

 私自身のことで言えば、56歳から4年間、保育所に勤務しました。保育士のバックアップ(代役)が出来ない欠落要因がありましたが、私自身は楽しく充実した4年間でした。

 保育所退職後は、要約学習に専念しています。教材づくり、事後のワークシート点検と集計など、シーズン中(5月〜7月&9月〜12月)は、有り難いことに怒濤の日々を過ごしています。

 一方、男性の「健康寿命」は72歳。海外旅行もしたい、趣味も充実したい、……。もうこれからの人生は一年一年が勝負です。

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対策(2)
人工知能(AIロボット)


 特にAIの進出によって今後10〜20年間のうちには、現在の仕事の半数がロボットにとって変わるという説もあります。ということは、人間の働く場所が狭まってくるということです。となれば、今の売り手市場と買い手市場とは近い将来、再逆転するということでしょうか?

 その前に日本の輸出産業(特に自動車)は、世界の「電気自動車」の流れに後れを取っていると報道されています。原油の輸入も高止まっています。輸出入による景気も、先行き暗雲がたれ込めています。国の赤字財政は国民一人当たり800万円超、あれやこれやと不安材料が過ぎります。

 ロボット(AI)が社会進出を遂げた先には不安はありますが、無医村でも最先端医療が受けられたり、(自動運転)高齢で自動車免許がなくても自家用車であちこち行けたり、美味しい食事を作ってくれたり、高齢者の食事介助をしてくれたり、……。

 英会話・囲碁などの個人レッスンしてくれたり、ロボット農機具が炎天下に田植えや稲刈りをしてくれたり……。人間が仕事を奪われるという恐怖はありますが、夢のある社会が実現するかも知れません。

 そして、従業員数を減らすことが出来ますから、必然的に一人当たりの給与が増える計算になります。

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対策(3)
外国人労働者


 厚生労働省の発表によると、日本の生産年齢(15歳以上65歳未満)における労働力人口は減少の一途を辿っています。こういう現状を踏まえ、外国人を積極的に雇用しようとする動きが本格化しています。

 2022年度、日本でにおける外国人労働者は、厚労省のデータによると次のようになっています。

 182.3万人
 労働者に占める割合は 2.7%


 業種別に見ると、次の職種が多い現状にあります。

 48.5万人 製造業
 29.5万人 サービス業
 23.8万人 卸・小売業
 20.9万人 宿泊業・飲食サービス業


 外国人労働者の占める比率を算出すると、次の通りです。

 1.4% サービス業
 2.5% 宿泊業・飲食サービス業
 4.4% 製造業


 厚生労働省「賃金構造基本統計調査2021年」によると一般労働者に絞ってみれば、

 調査全体の489万円に対して
 外国人労働者の年収は338万円。
 3割ほど低くなっています。


 
令和4年10月末現在の外国人雇用(厚生労働省発表)
国籍別では、

 25.4% ベトナム
 21.2% 中国
 11.3% フィリピン

 福祉人材センター・バンクによると、介護施設の有効求人倍率は深刻で、今年1月のデータでは介護施設の有効求人倍率は2.69倍。慢性的な人材不足が続いています。

 今後、人材不足はさらに深刻化し、団塊の世代が大量に75歳となる2025年になると、現行のまま介護士を増やしていっても、明らかに30万人の介護士不足が生じると言われています。

 そこで議論されているのが、外国人介護人材の導入です。これまで外国人介護士においては、経済連携協定の枠組みによって、インドネシア、フィリピン、ベトナムから、約1500名の介護士をめざす研修生を介護現場で受け入れています。

 施設で4年間働きながら、介護の知識と技術を身につけ、介護福祉士の国家試験に合格すれば、実質的に制限なしに働き続けることができるというものです。

 しかし、この枠組みの目的は、あくまでも人材交流であり、人材不足を補う制度ではありません。現状では、外国人介護士が飛躍的に増加することは見込めません。そこで、政府が決めたのが外国人技能実習制度の介護分野への拡充です。

 この制度は、外国人が日本で多様な技能を学ぶ研修という名目ながら、日本人がつきたがらなかったり、人手不足だったりする労働分野の補完として機能しているのが実態です。

 しかも、劣悪な環境と低賃金で外国人労働者を都合よく利用しているとして、アメリカの国務省から「強制労働」だと批判されたこともあります。

 !!!! 日本人が嫌がる仕事(3K)を外国人に担ってもらうという発想は、かつての被差別部落問題とオーバーラップします。これは問題があるのではないでしょうか?

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