@ 基本的に動物の性別は出生時には決定されており、一生変わりません。ところが魚のうち約400種は、環境的なきっかけによって性転換をしています。それは種の保存のため(絶滅しないため)に、長い間かけて進化してきた結果なのです。
A ブルーヘッドという魚は、カリブ海のサンゴ礁に棲んでいます。青い頭をもつ一匹のオスが、黄色い頭をもつメスの集団と暮らす魚です。ところがオスが死ぬと、数時間のうちに一番大きなメスの女性ホルモンが低下して、生殖腺は卵巣から精巣へと変わります。同時に気性が激しくなり、オスのような行動をとるようになります。性転換すると頭部の色は、黄色から青に変わります。3週間後には、メスからオスへと完全に変化します。オスがいなくなるという視覚的合図によって、一番体の大きいメスの「遺伝子スイッチ」が切り替わってオスへと変化していくのです。
B 性転換する魚のなかには、オスからメスへと性別を変える種や、オスとメスとが何度も入れ替わる種類もあります。性転換するのが水中生物に限られているのは、オスとメスの構造の違いが最大の理由です。陸上動物はオスとメスの体の構造が大きく異なっており、性転換は簡単ではありません。ところが魚の卵巣と精巣とは比較的変化しやすいため、性転換が起こりやすいとされてます。