@ 近代医学の大きな成果の一つとして、「ワクチン」が挙げられます。ワクチンは殺したウイルス、または弱毒化したウイルス(弱めたウイルス)で作ります。これを体内に注入することによって、体内にウイルスを退治する「抗体」が作られるという仕組みです。ワクチンのおかげで天然痘・小児マヒ・はしかなど、深刻な感染症から多くの人を救っています。
A 現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する「ワクチンの開発」が、世界各国で進められています。世界で合計120以上が進行中ですが、日本では「DNAワクチン」の開発が臨床試験の段階に入っています。「DNAワクチン」は、これまでのワクチンとは全く違います。ウイルスを使わずに、「遺伝物質で作ったワクチン」です。
B DNAワクチンは、ウイルスは使いません。人工的に作製した「ウイルスの遺伝子情報」のみを注射します。ウイルスの遺伝子情報を体内に入れると、ウイルスが細胞に侵入する際に出てくるタンパク質が大量に発生します。それに対して抗体ができるという仕組みになっています。これまでの「生ワクチン(弱めたウイルス)」「不活性ワクチン(殺したウイルス)」と違い、DNAワクチンは大量生産が出来ます。製造費用も安い上、ウイルスそのものではないので安全という利点があります。