@ ヤドカリの体長は約15cm、海の底300mから3000mに暮らしています。ヤドカリは親とは違う形(ゾエア)で生まれてきます。海中を一か月ほどの間、プランクトン(ゾエア)として漂いながら成長し、幼生になると海底で小さな巻き貝の殻を見つけて、脱皮をしつつ成長します。貝が小さくなってくると、新しい貝殻を探して暮らします。
A ところで、「アシボソヤドカリ」という種類のヤドカリのパートナー(寄生先)は、貝殻ではなく、スナギンチャクです。このスナギンチャクは、強力な毒を持っています。ヒトがこの毒に当たると激しい筋肉痛に襲われ、黒っぽい尿が出て死ぬことがあります。そんな危険なスナギンチャクに寄生をしているのです。一方、スナギンチャクはアシボソヤドカリの寄生を歓迎し、毒針で刺しません。
B 実は、この2種類の生物は「共生」しているのです。どちらの生物にとってもメリット(得になること)があるのです。ヤドカリ側のメリットとしては、スナギンチャクの持つ猛毒により、敵が襲ってこないという利点があります。また、自分とともにスナギンチャクも成長するため、背負っている貝の引っ越しをする必要がありません。スナギンチャク側のメリットとしては、ヤドカリが補食(獲物を捕まえて食べる)をするために移動するので、より確実に食事ができるという利点があるのです。