@ 全国で1万以上もあると言われる過疎集落。そのなかには、65歳以上の人口比率が50%を超える「限界集落」も少なくありません。しかし一方、集落滅亡の危機を脱すべく住民たちが立ち上がり、自力で再生を果たしたケースもあります。成功事例に共通しているのは、地域のリーダーやコーディネーターを中心に「住民一丸」となって再生に取り組んでいることです。
A 長野県川上村は標高1000m以上という高冷地にあり、かつては貧しい寂れた村でした。ところが村長による「農業改革」がスタート。高原野菜に適した土壌づくり、新種開発、機械導入による効率化、ブランド野菜の創出など、村民と手を取り合いながら歩みました。その結果、日本一のレタス産地となりました。30代〜40代の若手農家が多く、出生率も全国トップクラス。農家一戸当たりの平均年収は2,500万円を超えています。後継者問題とは無縁の農業王国をつくりあげています。
B 島根県隠岐郡海士町では過疎化から一転、都会からIターン者が殺到する人気の町になりました。山内道雄町長がリーダーシップを執り、人件費を含むさまざまな経費の削減を実施しました。産業振興の戦略は、地域資源を有効活用して「島をまるごとブランド(価値が高い)化」するというものです。たとえばCAS(Cells
Alive System)と呼ばれる、磁場を用いて細胞を振動させたまま凍結する急速特殊冷凍技術を導入。細胞を壊すことなく保存することで、獲れたての状態で海士町の海産物を他地域へ販売する道を開きました。畜産業では「隠岐牛」というブランド牛を育成し、松阪牛に匹敵するといわれるほどの高い評価を得るまでに成長しました。