@ 2009年、ユネスコは世界のおよそ2,500の言語が「将来的に消滅の危機にある」という調査結果を発表し、日本では北海道の「アイヌ語」が「極めて深刻」とされた他、沖縄県の「八重山方言」や東京・八丈島の「八丈方言」も「危険」と指摘しました。
A アイヌ語は、北海道を中心とする地域の先住民族「アイヌ民族」の伝統的なことばで、文字はなく、日本語とは単語や文法が全く異なる言語です。明治以降、国の同化政策(力を持つ民族が、弱い民族・集団に対して、自らの文化伝統を受け入れるよう強いる政策)によって、徹底した日本語教育が行われました。その結果、アイヌの人たちは日本語を使うようになり、アイヌ語は壊滅的な打撃を受けました。その後、平成9年に「アイヌ文化法」が施行され、国もアイヌ語の保存と継承に取り組み始めていますが、現在、アイヌ語を自由に話せる人は10人程度しかいないと言われています。
B 関根健司さん(アイヌ文化博物館)は、アイヌ語について「アイヌ語にはアイヌの人たちの知恵が詰まっており、保存・継承していくことによって北海道の特色の一つになると思う。」と述べました。そのうえで、「古くから伝わってきている地域のことばを大事にすることは、自分たちの文化やふるさとに誇りを持つことにもつながります。国が保存や継承に乗り出したことは歓迎したい。」と話しています。