@ 有明病院がん研究グループは「人工知能」(AI)を活用し、胃の内視鏡画像の中から胃がんを98%の高精度で検出できるシステムを開発したと発表しました。これは熟練した医師に匹敵するレベルで、胃がんの早期発見や正確な診断につながると期待されています。
A 胃がんは日本では発症数がもっとも多いがんで年間約13万人が罹患し、約5万人が命を落としています。胃がん治療のキーポイントは内視鏡による早期発見と早期治療です。「ステージT」の5年生存率は95%以上で、さらに粘膜内がんで発見された場合は、体の負担の少ない内視鏡手術で治療が可能です。しかし、慢性胃炎の中から胃炎によく似た胃がんを拾い上げることは、経験を積んだ医師でも難しい場合があります。内視鏡による胃がんの見逃しは5〜25%という報告もあり、内視鏡医の経験と技量の差も大きな課題となっています。
B こういう現状にあって近年、「人工知能」(AI)による画像認識能力は大きく進歩し、人間と同等以上の成績が得られるほどに進化しています。しかし、胃がんは内視鏡診断そのものが非常に難しいため、これまでAIを用いた内視鏡診断支援システムは開発されていません。そこで研究グループは、与えられた多量の画像から特徴やルールを自律的に学ぶ「ディープ・ラーニング」(深層学習)をAIにさせることで、胃がんを内視鏡画像から自動的に発見するシステムを開発しました。その解析速度は、2,296枚の画像の解析にわずか47秒(一画像あたり0.02秒)で、人間の能力をはるかに超えるものでした。