@ 孤独死した人の自宅を清掃・消毒して原状回復する「特殊清掃業者」が急増しています。業界団体によると、全国で5,000社以上が参入しており、団体が民間資格の認定制度を始めた5年前から業者数は15倍に膨らんでいます。厚生労働省の調査によると、2016年の一人暮らしの高齢者数は約655万人で、10年前の約1.6倍に上っています。核家族化も影響して孤独死は全国で相次いでおり、特殊清掃業の需要が高まっています。
A 特殊清掃業者は故人(亡くなった人)の住宅の管理人や親族らから依頼を受け、清掃や消毒のほか、遺品整理を請け負います。孤独死の場合、遺体発見まで時間が経過すれば、室内の臭いや汚れがひどくなります。業者は感染症予防のため、防護服を着て作業します。多くの場合、薬品や殺虫剤、電動のこぎりなどを使って室内を原状回復していきます。
B 特殊清掃業者の西村訓典社長は半年前、高齢女性が孤独死した大阪府内の自宅を特殊清掃しました。依頼主は関東地方の息子。ギャンブル好きの父親と仲たがいし、20年前に家を飛び出して家族とつき合いがありませんでした。机の引き出しからノートが見つかりました。「(息子に)悪いことをした。もう一度会いたかった」。だが、息子は
「家族とは縁を切った」と告げ、室内に残されていた百十数万円の現金だけを受け取って帰っていきました。西村さんは「悲しいです。このようなケースは少なくありません。」と肩を落としています。