@ 才能さえあれば、小学生でもプロデビューできるのが「漫画家」という職業。ただし、漫画家になれたとしても、漫画を描くだけで生活できる人はほんの一握りです。M子さんは絵を描くのが好きで、小学校3年生頃からノートに漫画を描いていました。「漫画家になる!」と決意したM子さんは高校卒業後、進学も就職もせず、出版社の漫画賞に自作の漫画を投稿しました。今活躍している漫画家も、ほとんどが漫画賞への投稿者時代を経てプロデビューしています。
A M子さんが投稿していた当時は、ひとつの漫画雑誌にひと月100から200本ほどの漫画が投稿され、3〜4カ月に1人がデビューが出るくらいの割合でした。M子さんが送った漫画は賞金10万円の賞に入選し、その月投稿された漫画の中で一番の成績でした。しかし、デビューには及ばず、担当編集者から紹介されたのが「漫画家のアシスタント(補助)」の仕事です。プロの技術を学べるうえに、給料ももらえます。M子さんが仕事をしていた職場は、先生の家に泊まり込む形で月に4泊5日を2回。睡眠時間と食事の時間、シャワーを浴びる時間を除いて、常に作業をします。そのため、一日の作業時間は約14時間。日給制で一日1万5000円でした。
B 他のアシスタントの話を聞くと、「プロの技を勉強させてやってるんだから」と給料を払わない先生や、3日間丸々徹夜で眠ることを許さない先生などもいるそうです。そのうちに認められて漫画家としてプロデビューする人もいますが、そういう人はごくごく一部です。