@ 皆さんは「遺品整理士」という仕事をご存じでしょうか。遺品整理士とは、亡くなった人の遺品を、家族に代わって片づける専門の仕事です。近年、急激に需要(依頼者)が増え、現在は全国でおよそ1万7千人が活動しています。遺品整理士、三國健司さんによると去年168件の依頼のうち2割が「孤独死」のケースでした。その多くが、家族がいるにも関わらず交流がほとんど無く、遺品はすべて処分してほしいという依頼でした。
A 三國さんが本格的に遺品整理の仕事を始めたのは、4年前です。遺品を扱うことの大切さに気付く出来事がありました。それは、亡くなった夫が大切にしていたものを探してほしいという女性からの依頼です。大量の遺品の中から探し出したのは手袋でした。「夫は幼いころ、母親に編んでもらったその手袋をいつも嬉しそうに見せていました。」とのことです。
B これ以後、三國さんは遺品は亡くなった人の「生きた証し」だと考えるようになりました。その後、ある孤独死した男性の遺品の一部(笑顔の写真)を遺族に渡そうと、悩んだすえ持ち帰りました。男性の息子は戸惑いながらも受け取りました。遺品と向き合い続ける三國さんは、「希薄になった家族の関係を見つめ直してほしい。最近は、生きているうちに身の回りを整理する『生前整理』にも力を入れています。誰に何を残したいか考えることをきっかけに、人とのつながりも見つめ直してほしい。」と話しています。