「分かりやすい説明」のルール

第5章
表現の練習をしよう!


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2014.12.02(火)


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全体像










心得


次の点には、十分注意します。
1)寄り道をしない。
 話しているテーマは何か、いつも意識しながら話す。頭に浮かんでくることを、だらだらとしゃべらないこと。

2)一文を短くする。
 理解しにくい話の原因の一つは、長文。分かりやすい話し方は、短文の積み重ねと心得よ。

3)思いつきをしゃべるな。
 
4)主語と述語を離すな。
 一文が長いと、得てして諸語と述語が離れます。

5)修飾語を極力少なくする。
 修飾語が間に入ると、自然、主語と述語が離れます。理解しにくい話になります

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コメント
(1)(3)については
私にも自覚症状があります。
話している最中
ふと「あ、これも話しておこう」
という内容が脳裏に浮かびます。

そこで振り払えばいいのですが
ついつい本題から外れたところへ
話が行きます。
時には
あれ自分は何について
話していたんだったかな?
ということさえあります。
自戒のアドバイスです。

(2)(4)(5)は
おおむね同じ内容です。
要は短文を心がけること。

模範は
太宰治の「走れメロス」です。
朗読していて
実に歯切れがよくて
すかっとします。



「走れメロス」
冒頭


 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿はなむことして迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。

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すぱっと端的に!


 上の文章の通りです。専門用語をだらだらと並べ立てて、詳しく説明したつもりでも、聞く方はいたずらに混乱するだけです。キーワードは、「すぱっと、端的に!」です。

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コメント
まったく
仰せの通りです。
何も言うことはありません。







心得


7)一文が二つの意味に取れる恐れがある場合は、文を二つに分ける。

8)だらだら文になり勝ちなので、接続助詞「が」を極力使わない。
9)二重否定は理解しにくい。使わない。

10)助詞「の」を多用しない。主格の「の」なのか、所有格の「の」なのか、判断しにくいケースが少なくない。

11)英語・カタカナ語を多用しない。理解しにくい元。

12)「酒が人生を狂わせる。」のような、無生物主語を避ける。これについては、8章で詳説。

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コメント
(7)については
長文を避けるというアドバイスの
裏返しです。

(8)(10)については
小中学生の作文に
ときどき出てきます。
特に「が」を多用すれば
文章が永遠に続きます。
疲れて読む気がしなくなります。

(11)の英語・カタカナ語については
聞き手の語彙など
よく考慮する必要があります。
相手に合わせ
どちらを使った方が
より理解しやすいか
判断です。

以上
いろいろとアドバイスがありました。
全部
頭に入れて
とどこおりなく説明するのは
至難の業です。

ただ
聞いている人をイメージし
あわせて
話している自分もイメージしながら
説明を進めることは
とても大事だと
改めて思いました。