本当の学力をつける本
.

2014.1.28(火)


コメントの部屋へもどる




 百マス計算で有名になった陰山秀男氏が、山口小学校での実践を基に書かれた著書、『本当の学力をつける本』を読んだのは、平成14年7月10日です。いつものように付箋に要約を書きながら読み進めています。今回、この付箋を基にA4一枚の図式に仕立てました。その紹介です。

.













全体像の図式






             





基礎学力が伸びると……?


 基礎学力が伸びると、子ども達に落ち着きが出てきます。根気強さ、ねばり強さも伸びます。一般的に変化がないといわれている「知能テスト」も点数が上がります。

.








昔からポイントは基礎学力だった


 ヨーロッパでは、暗誦を重視してきています。今でもユダヤ人は、ユダヤ教典を覚えます。ドイツ人は、幼児期に厳選した民話を50覚えます。フランス人は、コテンの詩歌を暗誦しています。
 一方、日本の江戸時代には寺子屋や藩校で「読み・書き・そろばん」を徹底して行っていました。そういう教育の中から学力を高めている日本人、次々と排出される教養人、……。日本を訪れた欧米人が驚いたそうです。

.








幼児教育の重要性


 基礎学力を考えるとき、幼児教育抜きには考えられません。基本的生活習慣が育つ時期でもあります。
 幼児期、親はどんどん子どもに語りかけることが大事です。このことによって、言葉を獲得するとともに知識をため込み、価値観を培っていきます。また、乳幼児期には特に大事な「安心感」を育んでいきます。
 親が子どもをほったらかしにしたり、一人遊びばかりさせたりしていると、その子はやがて「低学力」と呼ばれる子になります。
 語りかけとともに留意したいのは、過保護と甘やかしです。『和俗童子訓』でも強調しているように、「子どもは甘やかすな」が基本です。苦労は人を育てます。苦しい体験が不足すると、苦しい人の気持ち祖察することが出来ません。

.








山口小学校で行っている
基礎学力養成


 音読・暗誦は、記憶力を伸ばします。脳を活性化します。プリント学習は、基礎学力に欠かせません。特に「漢字テスト」と「計算テスト」は、毎日欠かさず取り組ませたいものです。「百マス計算」は計算力を伸ばすとともに、成長を実感できる一つの方法です。

.








ゆとり教育への危惧


 完全学校週五日制がスタートする直前、遠山文科省大臣アピールが行われました。学力低下が社会問題となる中、基礎学力をつけるために、反復学習・宿題や補習の実施を呼びかける内容でした。

.








認め、褒め、励ます


 低学力の子どもは、もともと面倒くさがりです。覚えることが苦手という意識もあります。結果、出来ないという思いこみがあります。それゆえ、怠けたりたるんだりする傾向にあるのです。不登校の子どもは無気力ですから、百マス計算もぜんぜんのびがありません。
 こういう子ども達に対しては、救いは両親や先生からの声がけです。「頑張ったね」「早くできるようになったね」など、認めたり褒めたり励ましたりを大事にする必要があります。
 進路指導は15歳では完全に手遅れです。勉強が出来ないと、非行や退学へと流れる子どもも出てきます。進路指導は、いくら遅くても高学年までと心得てください。

.








川島隆太先生の研究から


 学校週五日制が完全実施となってからというもの、授業は年間700時間となりました。毎日テレビを2時間観る子どもは、一年間で730時間。 ……授業とテレビと同じぐらいの時間なのです!
 川島隆太さんは、脳の活性化について研究成果を発表されました。それによると、テレビやテレビゲームは脳の活性化はほとんど観られません。その一方で、音読とか計算しているときの脳は、激しく活性化しているとのことです。

.








基礎学力を支える生活習慣


 早寝・早起きは、気力の充実、集中力、ねばり強さを生み出します。日本の朝ご飯は、ブドウ糖やアミノ酸が豊富。脳の栄養にも優れています。排便も毎朝の日課にしなくてはいけません
 こういう基本的な生活習慣が崩れている子は、元気がないし、怒りっぽい傾向にあります。

.








学校ぐるみで!


 校長にとって学校づくりは至上命題です。教師が自分を存分に出すことが出来、毎日の学校生活を楽しんでいる学校こそ、子どもが育つ学校です。
 そういう学校づくりを基盤に、学校ぐるみで取り組む時、教育は相乗効果を発揮します。少ない指導で大きな成果を上げることが出来るのです。

.






.