@ 環境問題を背景に欧米を中心にガソリン車から電気自動車(EV)への移行が加速しています。一方で、走行距離や安全性では汎用性(一般的に普及する)は遠い将来という現実もあります。現在のEVにはリチウムイオン電池が利用されていますが、爆発的な普及には蓄電池の性能向上がカギです。そこで今、注目されているのが大容量で長寿命な次世代蓄電池と言われている「全固体電池」です。
A リチウムイオン電池は電解質が液体であるのに対して、全固体電池は電解質を固体化したものです。液体の電解質と違い、必要なイオン(電解質)だけが正極と負極の間を移動するので、電極と液体が反応して劣化したり、液漏れしたりするなどの危険性がほとんどありません。
B 現在、EVに搭載されるリチウムイオン電池には寿命や充電時間での限界があります。スマホと違って10年単位という長期間使うのが車です。しかも、安全性が重要なことは言うまでもありません。全固体電池は、燃えにくい、漏れないという点からも、EVに最適と言えます。しかし、実用化するには大きな課題(硫化物の固体電解質は大気に対して不安定で危険)が残っています。EVがガソリン車やハイブリッド車並みに使い勝手がいい乗り物になるには、まだまだ時間がかかると思われます。ただ全固体電池開発は、日本が圧倒的にリードしています。日本の車メーカーのレベルは高いので、5年で実用化できると期待が寄せられています。