@ 隠岐諸島の海士町が、2023年度の実用化を目指し、海上の波を利用して電気を生み出す「波力発電所」の建設に取り組んでいます。本土と送電線がつながっていない離島で、海洋の再生可能エネルギー(自然エネルギー)に着目した試みとして注目されています。海士町は現在、ほとんどの電力を別の島の火力発電所から調達(準備)しています。波力を活用した島内への電力供給を実現させることで、島外に流出している町民の電気料金を島内に留めるという構想を描いるのです。
A 再生可能エネルギーのうち風力発電は、風が弱かったり風が吹かなかったりすると発電できません。太陽光発電は発電できる時間帯が限られる上、天候の影響を大きく受けます。その点、日本は島国なので「波」を比較的得やすく、波がまったくない状況が続くことはほとんどありません。波力は比較的安定した発電が見込めます。日本は島国ですので、長い海岸線を活かして広い範囲で波エネルギーを活用できるのもポイントです。
B 開発中の装置は、海面が上下する波の力を使って密閉タンク内の水をピストンで押し上げ、落下するときの力でタービンを回して発電する仕組みです。大きさは縦20メートル、横30メートル、高さ20メートルで、最大出力は330キロワット。波がある限り24時間365日発電が可能で、海士町の町内世帯の半数前後に相当する、500戸分の電力を賄うことができる見通しとなっています。