@ 日本の春といえば、桜が代表的です。お花見の文化も根強く、並んだ桜が一斉に咲く姿は日本の風物詩です。しかし疑問に思うことはありませんか。名所などの桜は、咲いている樹と咲いていない樹が混ざることなく、満開の桜が続きます。同じ品種でも、個体によって草く咲いたり、違く咲いたりと差があるのは自然なことです。なぜ桜は同じように咲くのでしょうか。
A それはソメイヨシノという品種に秘密があります。ソメイヨシノは、江戸時代の後期に誕生した品種です。花見に適した桜ぶりや、育てやすさが評価され、明治時代以降日本全国に広まりました。現在、日本にある桜の8割がソメイヨシノだと言われています。ソメイヨシノの大きな特徴として、自分で受粉して繁殖する(=交配する)ことが非常に難しいことがあげられます。山桜など、他の桜と交配することは可能ですが、それではソメイヨシノとは違う雑種になってしまいます。
B そこでソメイヨシノは、人の手によって増やされるようになりました。すでにあるソメイヨシノの桜を切りとり、土や水に挿して育てる「挿し木」や、他の桜の樹の切り株に挿して育てる「接ぎ木」といった方法が用いられます。そうして育った桜は、元々あったソメイヨシノと全く同じ遺伝子を持つ樹、つまり「クローン」として育ちます。同じ遺伝子を持つからこそ、同じ気候気候条件の下で一斉に咲き、一斉に散ることが可能なのです。