@ 孤独死した人の自宅を清掃・消毒して原状回復(元通りにする)する「特殊清掃業者」が急増しています。業界団体によると、全国で5,000社以上が存在しており、団体が民間資格の認定制度を始めた5年前から業者数は15倍に膨らんでいます。厚生労働省 2020年の調査によると、一人暮らし世帯は一般世帯の約38%(2,115万世帯)。核家族化(=夫婦と未婚の子どもで構成される家族)も影響して孤独死は全国で相次いでおり、特殊清掃業の需要が高まっています。
A 特殊清掃業者は故人(亡くなった人)の住宅の管理人や親族らから依頼を受け、清掃や消毒のほか、遺品整理を請け負います。孤独死の場合、遺体発見まで時間が経過すれば、室内の臭いや汚れがひどくなります。業者は感染症予防のため、防護服を着て作業します。多くの場合、薬品や殺虫剤、電動ノコギリなどを使って室内を原状回復していきます。
B 特殊清掃業者の西村訓典社長は半年前、高齢女性が孤独死した大阪府内の自宅を特殊清掃しました。依頼主は関東地方の息子。ギャンブル好きの父親と仲たがいし、20年前に家を飛び出して家族とつき合いがありませんでした。机の引き出しからノートが見つかりました。「(息子に)悪いことをした。もう一度会いたかった」。だが、息子は
「家族とは縁を切った」と告げ、室内に残されていた百十数万円の現金だけを受け取り、後は処分してくださいと言い残して帰っていきました。西村さんは「悲しいです。このようなケースは少なくありません。」と肩を落としています。