@ 古来、地下深部には生物はいないと考えられていました。むろん生物と言っても、知的生物ではなく細菌・微生物の類です。土壌の浅い部分に多くの微生物がいることは広く知られていますが、地中数キロメートルまで掘り進むと、そこは太陽のエネルギーも届かず、高温高圧の世界です。そのような環境では微生物でも生きていくことは出来ない、というのが従来の常識でした。
A ところが、最近の調査で地下3Kmの地中にも、さまざまな微生物がいることが分かってきました。世界の鉱山からサンプル(標本)を採取して調べてみると、実に多くの微生物が見つかりました。こうした地中生物の研究は、まだ始まったばかりです。今後、研究が進むと、地上の生物とは全く異なった「未知の生物」が発見出来るかも知れません。
B 例えばクマムシという体長0.1〜1mmほどの生物ですが、極めて過酷な環境でも生き抜く能力を持っています。周囲に水がなくなると「仮死状態(死んだように見えるが、実際には生きている状態)」になり、この状態でマイナス270度の超低温から100℃まで、あるいは真空から7万気圧(地上は1気圧)という高圧まで生き延びます。さらには、宇宙空間で宇宙線を浴び続けてもまだ生きていたという実験結果もあります。まして地中深く生きている生物は、我々の想像を絶する「生き物」の可能性があります。