@ 「生物模倣」とは生き物の構造や機能などを研究して、新たな製品開発に生かす科学技術のことです。例えばサメの肌を参考にして、競泳選手用の水着が開発されています。そして今、魚の特性を生かし、脱炭素(二酸化炭素排出量をゼロにする)につなげる取組みが始まっています。
A 例えば、マグロをマネた特殊塗料があります。東京と伊豆諸島を結ぶ大型客船では、船底に「特殊な塗料」を塗って水との摩擦を減らし、燃料を削減しています。水との摩擦を減らす秘密は、塗料に含まれているマグロをヒントにした成分にあります。マグロは高速で泳げるよう表面がヌルヌルの粘膜で覆われています。マグロの種類によっては時速100キロ以上で泳ぎます。塗料にマグロの粘膜成分を混ぜることで水の抵抗を減らし、省エネにつなげるという仕組みです。
B ある航空会社は、サメの肌をヒントに開発されたフィルムを機体に貼ることで、燃費を向上させようという実験を行っています。サメは獲物を捕まえる時にエネルギー消費を抑えながら素早く動くために、溝が折り重なった肌をしています。この構造をヒントにして、大手精密機器メーカーは10分の1ミリほどの凹凸があるフィルムを製作しました。航空機は高速で移動する時に、機体の表面に空気の渦が発生して抵抗が生まれます。開発したフィルムを貼ると、抵抗を減らすことができるのです。