@ 京都大学の研究チームは、ヒトから取り出した「ES細胞」から「拒絶反応」を起きにくくした免疫細胞「キラーT細胞」を人工的に作り、新型コロナウイルス感染症の治療に使う、新たな治療薬の開発に成功したと発表しました。なお「ES細胞」とは、受精卵の一部を特殊な方法で培養する(増やす)と「増殖をつづける(どんどん仲間を増やす)細胞」が得られます。これが「ES細胞」と呼ばれる細胞です。このES細胞に方向付けをすれば、それぞれ筋肉・骨・臓器などに成長させることができるという、特殊な細胞です。
A 抗がん剤治療によって、免疫不全(体に入ったウイルスや細菌を退治することが出来なくなった)状態になり、新型コロナが重症化した患者を対象に臨床試験(治験)を行います。今回は、このキラーT細胞に、新型コロナウイルスを発見する遺伝子を組み込んだ細胞を使います。このES細胞から「ウイルス感染した細胞を攻撃するキラーT細胞」を増殖し、患者に投与しても問題がないかを調べるという実験です。
B この「キラーT細胞」を、新型コロナ感染を人工的に再現した細胞と一緒に(試験管の中で)培養したところ、12時間後には新型コロナに感染した細胞の約9割が死滅したとのことです。今後、マウスを使った動物実験で安全性を確認した上で、臨床試験(実際にニンゲンで試す試験)を行うとしています。