@ 九州大学は世界的なカイコの研究機関として知られています。そこで、これまの研究成果を生かそうと、この九州大学に昆虫研究の拠点「昆虫科学研究センター」が2018年4月に開設されました。カイコは遺伝子操作したウイルスを注射すれば、狙ったたんぱく質を比較的簡単に体内で作れます。このことから、新たに見つかる危険な感染症を想定したワクチン開発技術の研究に着手。ウイルスから人や動物を守る、ワクチン製造の「昆虫工場」として注目を集めていました。そして、ついに「カイコを使って、新型コロナウイルスワクチンの候補となるたんぱく質の開発に成功した。」と発表しました。
A 九州大学は新型コロナウイルスの遺伝情報をもとに、ウイルスが人間の細胞に感染するための突起状の「スパイクたんぱく質」に着目。大学で飼育するカイコで、このたんぱく質が生成できることを確認しました。そして、スパイクたんぱく質を注射したマウスの免疫反応で体内にできた「抗体」で、ウイルスの感染を予防できる結果が得られた(=ワクチンが完成した)と発表しました。
B すでに人間での研究(治験)を始めていますが、記者会見で日下部宜宏教授は「ワクチン開発は世界中で進んでいますが、われわれが目指しているのはスピードではありません。発展途上国も含めて安く接種できるワクチンを、安定して生産することが目的です。」と話しています。