図式力を高める意味
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2023.10.2


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読解力のある人の読み方


 文章を読みながら全文を暗誦できるスーパーマンは、まずいないでしょう。しかしながら、読み終えて「どんな内容だった?」と尋ねられたとき、答えることが出来なかったら、それは「読んだ」ことにはなりません。

 読解力のある人は、読み終えた内容について「概要」を述べることが出来ます。さらに言えば、(今求められている読解力)「コメントを述べる」ことが出来ます。

 では、読解力のある人は、どのように内容を脳裏に残しているのでしょうか?


◎ 映像になる内容は、映像として残して読んでいます。

◎ 映像にならない内容については、「キーワード」の形で脳裏に残しています。

◎ その際、キーワードだけが、ただずらずらと羅列した形で残っていたら、それはまさに「暗記の世界」、ぺったんこのニ次元の世界です。再現するのは相当困難です。文章が長くなればなるほど、せっかく読んだ内容も再現は困難を伴います。

◎ そこで重要になってくるのが、キーワード同士を立体的に組み上げて脳裏に残す方法です。つまりは、要約学習でマスターを目指している「図式」の出番です。

◎ 図式にすると「暗記」の世界から脱することが出来ます。読み終えた内容が「映像として残っている」(=三次元の世界)からです。

◎ こうやって読んだ内容を(コンパクトに)再現出来たら、初めて「読んだ」と言えるのです。

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よい図式とは?


 要約学習では、この再現能力を鍛えるべく「図式」を学んでいます。図式力のレベルが上がれば上がるほど、読解力のパワーが向上します。優れた図式は、次のような特長があります。


1)ぱっと一見しただけで、内容が視覚的に把握できる。
2)話の全体構造が分かる。
3)思考の流れ(論の展開)が見て取れる。

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よい図式と悪い図







図式を見れば
読解の状況がつぶさに分かる


 したがって逆に言えば、論理的思考力のある人が書いた文章は、理解しやすい、「図式」にしやすいということです。児童生徒の立場から言うと、優れた文章を図式にする学習(体験)を重ねれば、図式力を高めるとともに、読解力と論理的思考力とを高めることが出来るのです。

 児童生徒が書いた「図式」を見れば、その子が「文章をどのように読みとっているのか」がつぶさに分かります。キーワードが雑然と書かれているだけの図式は、文章を理解しているとは評価できません。逆に、きちんと論理的に整理整頓された図式は、文章を丸ごと理解していると評価できます。

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2Dの文章を3D化する