@ 今、「再生研究」でプラナリアが注目を浴びています。プラナリアは川や池など淡水にすむ生物で、きれいな環境さえあれば日本中どこにでも棲んでいます。一見ヒルのようにも見えますが、よく観察すると、眼・筋肉・消化管・脳を備えた、りっぱな動物です。このプラナリアの何がすごいか。それはイモリやミミズを越える、高い再生能力です。例えばプラナリアを10個の断片に切り刻むと、死ぬどころか、全ての断片が一週間ほどで完全な個体へと再生し、10匹のプラナリアになるのです。
A このプラナリアは、地球上の生き物の中でいちばん最初に「脳」を獲得した生物と考えられています。そして驚くべきことに、プラナリアはその「脳」までも再生してしまいます。ということで、プラナリアは「不死の生物」と言われています。その秘密がわかれば、パーキンソン病などをはじめ、人間の難病の治療にも役立つかもしれません。
B もともと、プラナリアは一定の大きさまで育つと、胴体の中央辺りでくびれを生じ、2つに切れて、やがてそれぞれが個体となります。一匹が二匹に生まれ変わるのです。つまり「無性生殖」をする生物です。さらに驚くべきことは、栄養条件や温度などの環境が悪化すると、自らの体の中に精子と卵子をつくり、受精して新たな遺伝子を持った子孫を残します。つまり、「無性生殖」と「有性生殖」との両方使い分ける、きわめて生命力あふれる生物なのです。