@ 日本に鉄道が開業して、今年でで150年が経ちます。人口減少が進む地方では、廃線となる路線も相次いでいます。こうした中、北海道では鉄道が廃線になった後、地域の足を支えてきたバスでさえ、さらに路線を廃止せざるを得ない現状にあります。
A 旧国鉄の「胆振線」は、鉄鉱石などの資源や農産物を運ぶ路線として整備され、地元の人の生活の足として親しまれてきました。しかし、鉱山が閉鎖されたあとは利用者が減少し、昭和61年に廃線となりました。そこで地元ではバスに変更することで維持費を少なくし、利便性の向上を図りました。バスの停留所の数は鉄道の駅の3倍に増やしました。多くの利用を見込む町の中心部は巡回するルートを設定して、小回りがきくものにしました。
B ところが、バス路線のうち25キロが2022年9月30日をもって廃止になり、一部では「公共交通の空白地帯」が生じることになりました。バスの運営会社に聞くと、理由は極めてシンプルなものでした。「この区間は、一便当たりの利用者数の平均は0.3人程度。会社維持のため廃止は致し方ありません」。
こういう問題は、北海道に限りません。人口減少が進む全国各地で共通の課題となっています。ますます人口減少が進む地方の交通をどのようにするべきか、国全体の問題として改めて考える必要があります。