@ 牛乳は、カルシウム・カリウムなどのミネラルを豊富に含む食品です。これらの成分が血管を健康に保ったり免疫力(病気から体を守る働き)を高めたりする働きがあります。牛乳は、各種栄養素がバランス良く含まれた「準完全栄養食品」なのです。
A ところが牛乳を届けている酪農家が、かつてないほどの苦境に陥っています。このままでは酪農家の廃業が急増すると言われています。一番の原因は、エサ代の急激な値上がりです。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、急激な円安の影響を受け、輸入に頼る飼料と乾牧草(乾かした牧草)は、20年ほど前と比べて2倍に値上がりしました。一方、スーパーなどで売られている牛乳の価格は、生産コスト(値段)が上がっても、この20年近くほとんど変わっていません。
B 乳製品の消費は、コロナ禍の学校給食の停止のほか、外食産業やホテル・旅館など観光業の低迷により激減しました。メーカーは大量に余った生乳を捨てるのを避けるためバターや脱脂粉乳を作り、在庫が大量にあります。もし、生産者の要求通りに牛乳価格を上げれば、いま以上に乳製品が売れなくなって、牛乳を捨てる「牛乳廃棄」が起きかねないというのです。交渉が長引けば、酪農家の苦しい状況も長引くことになります。生乳販連(酪農家の団体)はメーカーが主張する「10円の値上げ」を受け入れざるを得ませんでした。その結果、酪農家の苦境が続くことになったのです。