@ アポロ11号が月面着陸に成功したのは1969年のことです。あれから50年以上が経ちました。そして今、日本のJAXAやアメリカのNASAは、月面での農業を実現しようという、壮大なプロジェクトを始めています。それによると、2030年代までに「月面基地」を建設する予定です。そこで問題として浮上しているのが、基地で活動する宇宙飛行士などの食料をどうやって確保するのかです。
A 月の砂は粒子が細かく、微生物が住みつくことが難しいため、種を植えても作物が育ちにくいので農業に適しません。しかしJAXAは、「人工土壌」に注目しました。NASA(アメリカ)が発表した「月の砂」の成分分析の結果をもとに、まずは粒の大きさなどがそっくりの砂を作りました。この砂を約1000度の高温で焼き固め、肉眼では見えない直径0.2ミリほどの細かい穴を開けていきました。この穴に微生物が住みつくようになり、作物の成長が可能になるのです。
B 試行錯誤を繰り返し、ついに微生物を活性化させるのに最適な穴の大きさや数を探り当てました。愛知県刈谷市にある企業農園で、この人工土壌を使って野菜を育てたところ、通常の土と比べ収穫量が20%程度増えることが確認できました。今後は、地球の6分の1とされる月の重力の中でも作物が成長できるかどうか、JAXAは実験に取り組みたいと話しています。