@ ロシアは、世界第2位のアンモニア生産国です。ロシアのウクライナへの軍事侵攻の影響で、ロシアからのアンモニア輸出が激減し、アンモニアを原料とする肥料価格が3倍に上昇しました。この状況を打開しようと、アメリカ(世界第3位の生産国)の大手肥料メーカーは増産に踏み切りました。
A 増産に踏み切ったのは、ルイジアナ州にある「CFインダストリーズ」です。東京ドーム約120個分という広大な敷地で、24時間態勢でアンモニアを大量生産しています。この肥料メーカーは肥料以外の新たなアンモニアの可能性に注目しています。それが「燃料」としてのアンモニアです。いま世界は脱炭素社会(二酸化炭素を排出しない社会)に向けて動き出していますが、日本やアジアなど、すぐに石炭火力発電をやめられない国が数多くあります。そこで、クリーンなエネルギー(二酸化炭素を排出しない発電)としてアンモニアに注目したのです。
B アンモニアは燃やしても二酸化炭素を出さないことから、石炭にアンモニアを混ぜて燃やすことで、二酸化炭素の排出を減らす方法「混焼技術」が開発されています。実はこの混焼技術で世界をリードしているのは日本です。大手商社の三井物産は肥料メーカー「CFインダストリーズ」と協定を結び、両社が共同でアメリカに新たな工場を建設し、燃料用のアンモニアの増産計画を進めています。