@ 奈良時代から岐阜県で作られている美濃和紙は、高い品質と丈夫さが特徴です。2021年に開かれた、東京オリンピック・パラリンピックの表彰状にも使われました。また美濃和紙の繊維を使って紙幣が作られるなど、丈夫さが特徴です。西陣織の帯を彩る装飾用としても重宝され、会社の主力商品のひとつとなっています。ところが、着物の需要の落ち込みとともに「和紙の糸」の生産量も落ち込み、いまやピーク時の20分の1以下です。
A そこでこれを打開するため、力を入れているのが「和紙の糸」です。「和紙の糸」は美濃和紙を細長く切り、それをよって紡ぎます。この和紙で作った洋服は高い通気性と、さらりとした肌触りが特徴です。暑い時期も涼しく、ひんやりとした着心地です。ところが、実用化にするに当たって課題に直面しました。帯を飾る以前の糸には “伸び” がなく、すぐに切れてしまうです。しかし研究を重ね、とうとう以前の糸の7倍の伸び率がある糸が誕生しました。これなら洋服に仕立てても大丈夫です。
B この和紙は、吸水速乾で耐久性があるので、洗濯にも耐えられます。軽さと爽やかな清涼感が売りです。残された課題は値段です。現状では綿の糸と比べて3倍の価格です。しかし、1300年間も受け継がれてきた技術があります。いつか和紙の服が“当たり前”になる日が来るのかも知れません。