@ ドーナツ化現象とは、市街(商店や人家が立ち並んでいる所)に住む人が減り、反対に郊外に住む人が増える様子を表した言葉です。このドーナツ化現象を放っておくと、行政サービスを行き渡らせることが大変(出費増)になるなど、取り返しのつかない問題を引き起こします。これを解決する手段として「コンパクトシティ」という考え方が注目されるようになりました。コンパクトとは「小さくまとまった」という意味です。この言葉からも分かるように、コンパクトシティは郊外に居住地域が広がるのを抑え、できるだけ生活圏(人が生活する居住地域)を狭くした街を意味します。
A 人々の住む場所が小さくなれば、公共の施設・保育所・学校・病院・老人ホーム・デパートなど、各施設も集中することができます。居住地の周りに施設同士が集まれば、車を持つ必要が無くなります。すると公共交通機関を利用する人が増え、本数や路線も増えます。自治体は、水道・下水道・道路・バス路線などインフラ整備や、医療提供・老人介護への支出が大幅に減ります。
B ただ、問題点があります。コンパクトシティを実現させるためには、郊外にいる人に市街へ移ってもらう必要があります。高齢者にとって、長年住み慣れた「田舎」を離れて市街地に暮らすことに抵抗を感じる人が少なくありません。また、農地で農作物を育て続けたいという人にとっては、移住は同意できかねる話です。これら諸課題の解決が、コンパクトシティ実現には欠かせません。