@ 岸田首相が教育未来創造会議で、「出世払い」方式の新たな奨学金制度の創設検討を閣僚らに指示しました。「出世払い」方式は、以前から自民党で検討してきている制度案です。それによると、授業料を国が大学に立て替え払いし、親の年収制限なしで利用できます。また、卒業して就職した後、年収300万円以上になってから返済を始めます。給料が低いうちは支払いが猶予され、低収入のままなら返済の必要はありません。
A 日本の現在の奨学金制度は、給付型(返さなくてよい)と貸与型(将来、返す義務がある)に分かれます。「給付型」は低所得世帯向けで、さまざまな条件が必要です。2020年度は約27万人が利用しました。給付型の対象外となった学生は、「貸与型」を利用することになります。貸与型のうち無利子が約44万人、有利子が約71万人と、給付型に比べて圧倒的に利用者が多くなっています。なお飯南町では、医師・薬剤師・看護師・歯科衛生士などを目指して進学する学生に対して、一定期間飯南町内で働くと、返さなくていいという特別な奨学金制度があります。
B 日本では、基本的に授業料を保護者が払うという意識が定着しています。その点、国が授業料を立て替える「出世払い」方式は、根本的な制度変更となります。奨学金の利用対象が広がり、利用者が支払いを始めるまで一定の期間を要するため、国は財源を準備する必要があります。