@ 東京大学と食品メーカーの研究グループが、牛肉の細胞を培養(育てて増やす)して「食べられる培養肉」を国内で初めて作り出しました。「培養肉」とは、動物や魚からとった筋肉の細胞を栄養成分が入った液を使って増やして作る肉のことです。グループでは、培養液を独自に開発し、食べても大丈夫な牛肉の培養肉を作成したということです。
A 作った培養肉は重さが2グラムで、縦4.5センチ、横2センチ、厚さ1ミリのしゃぶしゃぶ肉のような形をしています。本物と同じように筋肉の組織が立体的に再現されています。こうした培養技術で、食べても大丈夫な培養肉が作られたのは国内では初めてです。今年3月29日に東京大学で試食会が行われ、研究者たちが味や食感などを確かめました。参加者は「味はまだ牛肉とは言えないかもしれないが、うまみ成分がじわっと感じられた」と話していました。
B グループでは、3年後には100グラム程度の培養肉のステーキを実現したいとしています。食肉の生産には広い土地や大量の(牛に食べさせる)飼料が必要です。したがって食用肉が実現すれば、世界人口の増加に伴う食肉不足の解決につながります。さらに、この研究の成果は、ヒトの臓器や血液などを再生する「再生医療」にも応用できると期待されています。