@ 2022年2月24日、ロシア軍はウクライナへ軍事侵攻を始めました。なぜプーチン大統領は軍事侵攻を決断したのでしょうか? 理由はいくつかありますが、ここではプーチン大統領が特に主張している二つを取り上げます。
A 理由の一つは「ウクライナのNATO加盟阻止」で、30年前にきっかけがあります。1991年、それまで一つの国だった「旧ソビエト」が崩壊し、15の独立国ができました。NATOはヨーロッパおよび北アメリカ、合計30カ国による軍事同盟で、もともと旧ソビエトの脅威(恐ろしさ)に対抗するために作られた組織でした。そのNATOに、旧ソビエトから独立した国々までも次々と加盟し、ついに国境を接するウクライナまでもNATO加盟に意欲を示し始めました。ウクライナがNATOに入りミサイルが配備されれば、モスクワまで数分で届きます。プーチン大統領はウクライナのNATO加盟は、越えてはならない一線だと思っているのです。
B 二つめの理由として、プーチン大統領のウクライナへの強い”執着“です。プーチン大統領は去年7月に発表した論文の中で「ロシア人とウクライナ人は同じ民族だ」と述べています。歴史を紐解くと9世紀、今のロシア・ウクライナ・ベラルーシの地域には、「キエフ・ルーシ」という国家ができました。ところが13世紀、モンゴル帝国によって滅ぼされました。その後、モスクワを中心に旧ソ連という巨大な国家ができました。こうした歴史から、プーチン大統領はウクライナを「兄弟国」と呼び、同じ民族だという意識が強いのです。ただし、ウクライナにはそうした兄弟の意識はありません。