@ 2年前、グーグルが「音声を文字にするアプリ」を無料公開しました。マイクに向かって話せば、かなり正確に文字にします。聴覚障害者にとって相手の受け答えが文字化されるので、マスクをしていても話の内容がずいぶん把握しやすくなりました。そして今、この音声を文字化するグーグルの技術をベースにして、新たなテクノロジーの開発が進んでいます。
A 筑波大学の研究室では、聴覚障害者と会話する際、二人の間にディスプレー(文字や絵などを表示する装置)を置く方法を開発しました。対面で会話すると、透明なディスプレーに会話の音声が文字になって表示されます。以前はグーグルのアプリで会話を文字化しながら話していましたが、スマホと相手の顔を交互に見るので目の動きがあわただしく、疲れてしまっていました。互いの表情やジェスチャーなどを見逃してしまうこともありました。こういう聴覚障害者の「顔を見て話がしたい。」という思いから、この装置の開発が始まりました。
B オンライン会議にも、この方法が応用されています。聴覚障害者はオンライン会議で音声が不明瞭になったり、参加者が同時に話したりすると、内容に付いていけなくなることがあります。そこで導入したのが、話し手の顔が映っている画面の枠の中に、文字が表示されるシステムです。話し手にだけ字幕が表示されるため、誰が何を話しているかが判別しやすくなりました。