@ 企業の広告塔と言えば、一般的にはタレントやマスコットキャラクターが起用されます。ところが最近、人間そっくりに作られた「バーチャルヒューマン」(CGで作られた人間)を利用する動きが広がっています。衣料店のバーチャルヒューマンは、AIを使うことで店頭に置かれたモニターで接客を行っています。モニター内のバーチャルヒューマンに、お勧めのコーディネートを聞いてみると、「リネンのセットアップで、色味がとてもかわいいです。」などと答えてくれます。
A 大手飲料メーカーのサントリーも、バーチャルヒューマンを起用しています。「山鳥水生」と名乗り、宣伝を担当する20代後半の男性社員という設定で、若い世代へのアプローチを狙っています。このバーチャルヒューマンはSNSを専門に情報を発信しています。例えば実在する居酒屋を訪ねたり、苦手な自炊にチャレンジする動画を投稿したりと、若者の共感を得る内容を発信しています。
B 貝印(カミソリメーカー)の広告にモデルとして起用されているのは、バーチャルヒューマン「MEME」です。顔にはあざやそばかすがありますが、個性と捉える面も持っています。コーヒーを飲んだり、掃除をしたりといった日常の様子も紹介されています。「MEME」を採用した理由は、特定の人間のモデルだとその人自身の思想が、広告のメッセージに影響してしまうからとのことです。技術が進めば、人間とバーチャルヒューマンの区別がますますつかなくなっていくと思われます。