@ 環境破壊につながる有害物質(二酸化炭素や窒素酸化物)を排出しないEV(電気自動車)は、自動車の将来像として注目されています。災害時には電気の供給源としての役割を果たすという一面もあり、東日本大震災後はさらに注目度が上がりました。しかし、「購入したいと思うか?」と問われると、首を縦に振る人が少ないというのが現状です。
A 消費者が購入に二の足を踏む最大の理由は、一回の充電で走行できる走行距離の短さ(現在最高でも400Km。ハイブリット車はガソリン満タンで1,300Km)です。その上、充電施設が少ない問題もあります。また、EVタクシーの運転手によると「寒い日は特にバッテリーの消耗が激しい」とのこと。走れば普通に熱が発生するガソリン車とは大違い、EVは暖房するためにも電気を使うのです。
B 自動車メーカーのホンダは、2040年までに新車のすべてを電気で走る「EV」と水素で走る「FCV(燃料電池車)」にすると宣言しました。EVの最大の課題は、先ほど挙げた走行距離が短いことです。エンジニアたちは今、空気抵抗を調整することで距離を伸ばそうとしています。F1の車の開発を担ってきた技術者は、かつて車体周りの空気の流れを変えることで速度を極限まで上げる「ダブルデッカー」という部品を開発、優勝にも貢献しました。EVも部品の角度などをミリ単位で調整すれば、走行距離は(一時間あたり)数キロ単位で変わるとのことです。