@ ミシェル(スタンフォード大学の心理学者)が、1960年代後半から10年以上かけて「マシュマロ実験」を実施しました。幼稚園の4歳の子ども600人が実験に参加しました。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っていいます。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもう一つあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ。」と言って部屋を出ていきました。
A 子どもたちの行動は、隠しカメラで記録されました。映像を分析した結果、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまう率が高いこと。我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らす傾向があることが観察されました。実験に参加した子どものうち、1/3はすぐにマシュマロを食べます。1/3はテストの途中でマシュマロを食べてしまいます。我慢して、最後までマシュマロを食べずにいた子どもは1/3ほどでした。
B 12年後、追跡調査が実施されました。その結果、就学前(4歳時)における自制心(我慢できる力)の有無は、十数年を経た後も持続していること。1分未満に食べた子の多くは、感情を抑えることが難しい傾向があり、また、問題行動を起こしている確率が高いことが判明しました。一方、「我慢できた子」は「対人能力に優れ、自己主張がきちんとできる。」「ストレスに強く、プレッシャーに負けない。」という傾向にあったという報告がなされています。