@ 日本人の死亡原因で、最も多いのが「がん」です。2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで死亡するという統計が出ています。そこで、がん検診を受けるよう関係機関が勧めていますが、検診を受ける人の割合は伸び悩んでいます。がん検診では、がんの種類ごとに検査を受けます。例えば、胃がんなら内視鏡検査、肺がんならX線検査などがあります。体への負担・時間・料金などの理由から、健診率は低い傾向が続いています。
A こういう現状にあって、15種類のがんの有無が簡単にわかる画期的な検査技術が開発され、今年1月から一部の医療機関で提供が始まりました。この検査に必要なのは、1滴の尿だけ。「線虫」を使います。線虫はがん患者の尿に集まる性質があります。がん患者の尿に含まれる「がん細胞特有のにおい」が、線虫のえさとなる細菌のにおいに似ていると考えられています。
B 線虫が反応するのは、15種類のがんです。検査では、いずれかのがんが「ある」か「ない」かが高い確率で分かります。ただし、がんの種類までは分かりません。早期のがんも、およそ85%の精度で見つけることができます。費用はおよそ1万円です。がん検診の受診率が上がらない中で、これが大きな突破口になるのではないかと期待されています。