@ 今年の干支は「子年(ねずみどし)」ですが、研究者の間で注目の的となっている「すごいネズミ」がいます。アフリカ大陸東部、サバンナ(熱帯草原)の地下にトンネルを作って生活している「ハダカデバネズミ」です。「ハダカ(裸)」とか「デバ(出歯)」とか、なんとも可愛げのない名前ですが、その生態(生活のようす)が驚異的だ(驚くほど素晴らしい)と注目を集めています。
A ハダカデバネズミはネズミの仲間ですが、分類的にはモルモットやヤマアラシに近い動物です。体毛がなく、唇の上下から皮膚を突き破って飛び出している「出っ歯」が特徴的。地中の気温は安定しており、年中摂氏30度程度に保たれているため、毛皮が必要なくなったと考えられています。出歯は穴掘りに必要です。どちらも「地中への適応」を通して手に入れた進化のたまものです。巣穴には細いトンネルで結ばれた大小の部屋があり、トイレや寝室といった区別がされています。
@ ところで、一般的なネズミの寿命が4年程度であるのに対して、ハダカデバネズミの寿命は30年以上にもなります。また、「がん」になりにくい特長もあります。さらには、住処であるトンネルの中は酸素濃度が低く、ハダカデバネズミは低酸素状態に対する高い耐性(耐えられる性質)を持つ性質に進化しています。独特のDNA(遺伝子)修復機能を持っていると見られています。そこで近年、老化予防やがん予防などに役立てようと、生理学や医学の研究者から注目されています。