@ 細長いチューブの中で「ミニマル・セル」と呼ばれる細胞が細胞分裂・増殖し「新しい生命体」を造ったと、アメリカのベンター研究所が発表しました。「ゲノム」(生命の設計図)をコンピューターで設計し、その情報に基づいてDNA(遺伝情報)を合成したり、変えたりして新たな生物をつくる研究が進んでいるのです。
A この新しい研究は「合成生物学」と呼ばれています。その基になったのは、2003年に完成した「ヒトゲノムの解析技術」の進化があります。ゲノムが解読され、コンピューター上のデジタル情報として扱うことが可能になったのです。この技術によって、酵母・大腸菌・医薬品・化粧品などを作ったり、藻類からバイオ燃料(動植物から作る燃料)を生み出したり出来るようになりました。将来的には、移植用の臓器の作ることも可能になります。
B また、恐ろしい病気を無くすことも可能です。例えば、子がすべてオスになるように、害虫遺伝子を変えます。生まれてくる子はすべてオスになります。こうして何世代かを経るうちにメスがいなくなり、結果的にその害虫の集団は消滅します。感染症を媒介する「蚊」などに有効で、マラリア・エボラ出血熱・デング熱などを完全に退治することが期待できます。