@ 1990年頃を境にして、家庭の軒先で赤ちゃんの「おむつ」が干される風景が消えました。良質な紙おむつが開発され、それまで使われていた「布おむつ」が不要になったからです。紙おむつは「表面材」「吸水材」「防水シート」の大きく三つの層で構成されています。肌にいちばん近い層の「表面材」は直接肌に触れて尿をキャッチする部分であり、「不織布」という素材が使われています。不織布は肌が当たる部分をサラサラな状態に保ちつつ、尿を隣の吸水材に送る働きをしています。
A 真ん中の層には「吸水材」があります。表面材から受け取った尿を吸い取り、固形化します。吸水材は自分の体積の50倍以上もの尿を瞬時に吸収して固めることができます。しっかり固めるため尿もれを起こさず、尿を逆戻りさせることがありません。
B いちばん外側の「防水シート」は、尿やニオイを外にもらさないための最後の砦です。しかし、通気性(空気の入れ換え)がないと肌がかぶれてしまいます。そこで、全面通気性シートが用いられています。肉眼では見えない穴が無数に空いた特殊素材です。尿や臭いはもらさず水蒸気だけを外に逃がし、おむつ内の湿度を下げる仕組みになっています。こうして、ムレによる肌のトラブルを防いでいるのです。